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ナイトZOOでは、夜の動物たちの姿をお楽しみいただけましたでしょうか?皆さんは夜行性動物というとどのような動物を連想しされますか?鳥類のフクロウ、哺乳類のムササビやモモンガなどでしょうか。ここではそんな夜行性動物についてお話ししましょう。 ●夜行性動物夜行性動物とは夜間に行動し、昼間に眠る動物のことですが、その理由としていろいろ上げることができます。明るい昼間は天敵に狙われやすいため夜間に活動する動物や昼行性の獲物となる動物が休息している夜間にそれを狙う肉食動物、あるいは昼間の直射日光に照らされと体温が上がりすぎて支障をきたす小型の哺乳類、さらに本来は昼間にも行動するのですが人の圧力で夜間に行動する日本産のニホンジカやイノシシなど様々です。
野生のイノシシ
●初期の哺乳類現在最古の哺乳類は中生代三畳紀後期2億2500万年前に現れたと推定されています。その時代は恐竜が繁栄していた時代でした。恐竜絶滅後の哺乳類は肉食、草食、昆虫食、また大型から小型まで多くに種類に進化し繁栄しました。 恐竜が栄えていた時代には、哺乳類はネズミから大きくてもネコぐらいの大きさで肉食恐竜に食べられる弱い存在でした。多くは夜行性で昆虫を主体に食べていたと考えられ、その性質が子孫に受け継がれ、多くの哺乳類が夜行性になったと考えられています。
●夜行性動物の優れた感覚器 フクロウや夜行性のサルの仲間のスローロリスは目が大きくて、視覚が優れています。しかし暗いところでの視覚は優れている半面、色を感じることはあまりできません。目の中で光を感じる網膜には桿体(かんたい)細胞と錐体(すいたい)細胞の2種類の細胞があります。桿体(かんたい)細胞は暗い場所で機能し光に対する感度が高く、逆に錐体(すいたい)細胞は明るい場所で機能し色彩の識別ができます。脊椎動物の色覚は網膜にどのタイプの錐体(すいたい)細胞があるかによって決まります。魚類、は虫類、鳥類は4つのタイプの錐体(すいたい)細胞を持っていて、長波長域の赤から短波長域近の紫外線まで感じられると考えられている一方、ほとんどの哺乳類は2つのタイプの錐体(すいたい)細胞しか持っていません。初期の哺乳類は夜行性であったため、必ずしも色覚を持つ必要がなく、青を中心に感知する錐体(すいたい)細胞と赤を中心に感知する錐体(すいたい)細胞しか持っておらず、このため赤と緑を十分識別できない「赤緑色盲」の状態にあるといわれていて、この色覚が多くの哺乳類の子孫に伝わっていると考えられています。
ナイトZOOのクロサイ
エジプトルーセットオオコウモリ
キーウィ
●夜行性動物の体色夜行性動物は暗い世界での視力は優れていますが、色覚は劣っています。色を見分けることができないので、体色もくすんだ茶色をしています。それに反し、昼間の世界に生きる多くの鳥類は鮮やかの色をしているものが多く、哺乳類でも昼行性のサル類にはマンドリルやサバンナモンキーのように鮮やかな色を持つものがいます。 ●夜行性動物舎夜行性動物舎では夜間に蛍光灯を点灯し、通常の開園時間には照明を暗くしています。これは昼夜逆転させて、日中を夜の状態にし、時間12時間時間をずらせて彼らの夜間での生態をご覧いただくためです。そのようなわけで、ナイトZOOの時間帯ではちょうど午前6時から8時(9時)の夜明けの時間帯になります。まだ動いている動物もいましたが、ほとんどの動物たちが、明るくなり眠りにつこうとしている時間帯だったのです。入園者の皆様からは「サービス悪いな、ほとんど寝ているものばっかりやないか」とのお声もお聞きしましたが、寝ていて不思議のない時間帯だったのです。夜間照明し、昼夜逆させて通常の開園時間帯の昼間に活発に動く夜行性動物をご覧いただく仕組みをご理解いただくための説明が足りなかったことを反省しています。 今年のナイトZOOは職員にとっても初めての経験でしたのでいろいろ不手際もあったと思います。今年の反省を踏まえ、来年は夜行性動物のことをもっと理解していただけるナイトZOOにしていきたいと思います。
(榊原 安昭)
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