天王寺動物園「なきごえ」WEB版

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ラニー博子の思い出(旧担当者)

動物専門員だより
野生と市民をつなぐことも大切な使命です

 動物専門員は飼育員とは違い、自分の担当動物があるわけではありません。動物園のすべての動物を対象とし、彼らの生活を豊かにする取り組みをしています。

 私たちは動物園の動物の暮らしを豊かにすることはもちろん、“担当動物がいない”ことを強みにして、飼育員とは違った視点で野生動物たちの環境を伝える取り組みもおこない、野生の動物の暮らしを豊かにしていくことも目指しています。たとえば、2019年10月の“世界動物の日”にはアフリカゾウとカワウソという、天王寺動物園にはいない動物をテーマとしました。アフリカゾウは牙を持っているため密猟され、高値で密輸されます。象牙製品を珍重する日本人の存在は、アフリカゾウの密猟に影響を及ぼします。また、カワウソはペットとして日本で人気が出ていますが、その需要を充たすために生息地から密輸され、野生の生息数の減少に拍車がかかりました。アフリカゾウもカワウソも国際取引の規制が厳しくなりましたが、規制の強化への動きに日本人が影響していることは間違いのないところです。普段の生活では気づかないことかもしれませんが、これらは日本人として知るべきことであり、問題意識を持つひとを増やしていくことも動物園の使命なのです。

(井出 貴彦)

以前はゾウがいた獣舎での講演の様子

以前はゾウがいた獣舎での講演の様子

 

「奨励賞を受賞しました」

 このたび市民ZOOネットワークが主催する「エンリッチメント大賞2020」にて奨励賞を「高齢ラクダへの取組み」で受賞しました。昨年はコロナ禍が渦巻いているということで受賞講演はライブ配信での開催でした。日頃なかなか皆様にお伝えできなかったのでこの機会にお話できて良かったです。評価していただいた取り組みの内容を簡単にお話したいと思います。

 フタコブラクダのジャックは国内でも最高齢クラスのおじいちゃんです。体調については見た目だけではわからないことが多いため、毎日の検温や毎月の採血、不定期での体重測定で健康管理をしながら健康寿命を延ばすことも考えてエンリッチメントに取り組み、明治大学の山本 誉士特任准教授との共同研究の中でエンリッチメントに効果があるか否かも検証しました。ですからこのような取組みが奨励賞という形で評価され、スタッフ一同喜んでいます。私がジャックと関わるようになってから数年経ちますがやっぱり老いは感じます。いつかは来る最期の時まで健康に長生きしてもらえるように今後も取り組んでまいりますので、皆様も天王寺動物園にお越しの際はぜひともジャックに会いに来て下さい。

(下村 幸治)

【編集部注】「市民ZOOネットワーク」は、動物園や水族館での環境エンリッチメントの試みを、市民が理解し、評価し、応援する社会づくりを目指すNPO法人です。
(受賞講演の動画はYouTubeno市民ZOOネットワークのチャンネルからご覧いただけます)

ジャックと飼育チームの受賞記念写真

ジャックと飼育チームの受賞記念写真


 

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