動物の引っ越し クロサイ編


連 有吾さん

 とべ動物園で生まれたクロサイのライ(雄)が2月29日に天王寺動物園へと引っ越しました。この輸送について、輸送箱へのトレーニングや搬出時の様子など大型草食動物の移動についてご紹介します。
ライの移動が決まってからは母親と離れて生活をする練習を始め、運動場の施設を一部改修して出園の準備を進めました。当園ではこれまでクロサイを受け入れた経験はありましたが、他の動物園への移動は初めてで、正式に移動する日が決まった時には大きな責任を感じました。どのようにして推定1tを超える巨体を運ぶのか?簡単に説明すると、「ライが入ることのできる大きな輸送箱を準備し、自ら輸送箱の中に入ってもらい、トラックに乗せて運ぶ」なんですが、そう簡単に事は進みません。動物は初めて見る物や変化に警戒をするので、輸送箱に入るトレーニングが必要です。

 輸送箱を初めて見た時、ライは入り口になかなか近づくことができませんでした。そこで、輸送箱へ誘導するために好物のパンやサツマイモなどを置いて、中で餌を食べることを習慣づけました。輸送箱に入るには数日はかかると覚悟していましたが、予想に反して1時間後には中に入ってくれたのは嬉しい誤算でした。

 その後のトレーニングは順調に進み、出発の日を迎えました。捕獲のチャンスは1回限りで、失敗すれば警戒してもう入ってきてくれないことも考えられます。必ず成功させないといけません。ライに警戒されないためにも普段通りの作業手順で中へ誘導し、輸送箱の横から馬栓棒(出入り口を塞ぐ横木)を差し込みました。いつもと違うことに驚いたようでしたが、慣れてくると再び餌を食べ始め、その後の作業は問題なく行うことができました。残すはトラックへの積み込み作業です。積み込みには工事現場で見かけるようなクレーン車を使用します。ここで、今日一番の問題が起こりました。どうやらクレーン車のエンジン音に驚いたようで動き回り、輸送箱が左右に大きく揺れ安全に吊り上げることができなくなりました。ライが動くたびに作業を一時中断しながら、時間をかけて無事に積み込みを終えたのは、開始から約2時間後でした。スタッフ一同胸をなでおろしトラックに乗って旅立つライを見送りました。

 皆様、これからライを宜しくお願いします。

 

(むらじ ゆうご)


 

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