天王寺動物園「なきごえ」WEB版

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動物へのあふれる思いを科学の力で正しく伝える

あゆみラボ
動物の行動コンサルタント青木 愛弓さん

 

 私の主な仕事は、2つあります。1つは動物の飼育管理についての相談にのること。もう1つは、動物の飼育に関わる人に心理学の1つである行動分析学の基礎を教えることです。なかでも動物の行動のしくみを学ぶと動物の飼育に無限に応用できるので、2つ目を重視しています。

 動物はその行動の直後に嬉しいことがあったり、嫌なことがなくなったりすると同じ行動を繰り返すようになるという法則があります。これを応用したのが、餌をごほうびに使うトレーニングです。動物園では、「いいね!」を動物にわかりやすく伝える補助の道具としてホイッスル(笛)も使います。

 最近の動物園では、動物を幸せにするために、動物のQOL(Quality of life、生活の質)を上げることに取り組んでいます。ハズバンダリートレーニング(以下ハズトレ)もその1つで、飼育員や獣医師を恐れないことや運動場と寝室の出入り、体重測定や採血に関係する行動を教えることなどを含みます。ハズトレは、「人も動物も安全に楽しく」がルールです。例えば採血。餌をごほうびに使って教えると動物が檻の間から手や耳を差しだし、採血の間そこにいてくれるようになります。動物がリラックスした状態で採取した血液は、数値として信頼できるので、その動物自身の健康状態の目安だけでなく、研究にも役立ちます。

 動物達が心も体も健康でいられるように職員が力を合わせて知恵を絞ることは、動物のためだけでなく、来園者に動物の魅力を正しく伝えることにも繋がります。天王寺動物園では、2016年度から行動分析学の講義を職員研修として採用しています。外部講師が長時間行う研修は、動物園では日本初。研修中は、睡魔との戦いかと思いきや、頭から煙が出ているのが見えるくらい熱心です。職員の皆さんの少々心配になるくらいの愛が動物に正しく伝わるように、そして天王寺動物園がもっと魅力的になるように私も張り切って講義をしています。

(あおき あゆみ)

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