【獣医室から】食べすぎ注意! ~バランスのよい食事を~


 天王寺動物園には、「ふれあいひろば」というスペースがあります。この「ふれあいひろば」にはテンジクネズミやヒツジ、ヤギなど多くの動物たちが暮らしています。実際に動物に触れたり、間近で観察したりできるスペースとなっているため、動物のにおいや温かさを感じてもらうことができ、多くの来園者の皆様に楽しんでもらえていることと思います。この「ふれあいひろば」では、テンジクネズミのふれあい以外にも、ヒツジやヤギにエサを与えることができるのですが、今回はその「動物の食事」に着目してお話したいと思います。

 ヒツジやヤギは、日頃、牧草や青草などを主食としており、それらをうまく消化し、エネルギーに変換できるため、それだけでも十分暮らしていけるのですが、当園では、それ以外に補助食として、ペレットを与えています。

 

牧草とペレット

牧草とペレット

 

 ペレットとは、たんぱく質やビタミンなどの栄養素を豊富に含んでいる、いわば動物のサプリメントのようなものです。動物の種類によって、ペレットの内容も異なっており、それぞれの動物に不足しがちな栄養を補う形で作られています。もちろん、このペレット、適正量であれば動物にとって体に良いものなのですが、食べ過ぎてしまうと、骨や筋肉などの異常や下痢等の消化器症状など、様々な病気を起こす原因となってしまいます。

 当園でも、「ふれあいひろば」のヒツジが四肢を痛めたり、糞(ふん)に異常がみられたりするようになったため、原因を探るべく、検査を実施したところ、ペレットから取る栄養が多すぎて、栄養バランスが悪くなっていることがわかりました。

ヒツジの血液検査

ヒツジの血液検査

 

 そこで、当園では動物たちの健康状態を改善するため、給餌内容の見直しを今年の3月から始めました。「ふれあいひろば」でのペレットの給餌量を減らし、代わりに牧草や青草の給餌を増やすことで、栄養バランスの改善を図りながら、現在、経過を観察しています。

 つきましては、動物たちの健康を守っていくために、皆様にもお願いがあります。当園では、動物たちの健康状態に合わせた食事を準備していますが、時折、来園者の方の中には、持参した食べ物を動物たちに与えている方がいらっしゃいます。動物たちは食べ物がもらえるとわかれば近くに来てくれますし、可愛らしい姿をみせてくれるでしょう。しかし、このような食事が原因で、体調を崩してしまう動物たちが出てしまうことにもなりかねません。そのため、今後はこのような行為は控えていただきますよう、よろしくお願いいたしたく思います。

 最後になりますが、これからも動物たちの元気な姿を皆様に見てもらえるように、私たち職員も努力してまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。


(巴里 藍)

 

 

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