天王寺動物園「なきごえ」WEB版

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特定非営利活動法人 精神障害者支援の会ヒット 

林 稔さん

 

 年に1回、天王寺動物園のレクチャールームで、生物多様性啓発イベントを開催しています。イベントの主催者は大阪市天王寺動物園協会(以下、協会)。これには「大阪府や大阪市の生物多様性普及啓発担当職員」「生物多様性の宝庫である熱帯林の保全活動を行うNGOスタッフ」「生物多様性保全に取り組む民間企業の関係者」などを講師としてお招きし、生物多様性の取り組みや生物多様性の重要性を学ぶイベントで、イベントの最後には、天王寺動物園の獣医師さんと一緒に天王寺動物園の絶滅危惧動物を見て回るツアーを実施しています。イベントは昨年で4回を数えました。私は、協会のサポーターとして、当初からイベントの企画に参加させていただいています。

私の普段の仕事は「障がい者の就労支援」で、「障がい者の社会参加・交流」を促進する活動等も行っております。協会の障がい者に対する理解と協力のおかげで、イベントと並行して、障がい者が運営に参加できるワークショップも実施しています。ワークショップでは、天王寺動物園の動物達との楽しい思い出がより長く残るようにと、動物園で暮らしている動物の柄の布生地を使って作る、くるみボタンがアクセントのヘアゴムをつくります。動物柄は約7種類で、選ぶ楽しさが味わえ、日常触れることのないハンドプレスが操作できるので、ワークショップには、いつもたくさんのお客さんが集まります。

昨年は、オランウータンの研究者として有名な国立科学博物館の久世濃子先生をゲストスピーカとしてお招きしました。実は、久世先生とは全く面識はなく、お名前も存じておりません。久世先生を知ったのは、「Facebook」です。タイムラインの1枚の写真に心が鷲掴みにされました。「ジャングルの中で、幼い我が子をおんぶしている一人の女性」の写真でした。その女性が久世先生だったのです。久世先生のプロフィールをネットで調べてみると、ボルネオ島の熱帯雨林で2000年からオランウータンの研究をされ、オランウータン研究の第一人者でした。オランウータンは、現在絶滅の危機にさらされています。オランウータンを通して生物多様性を学ぶことができます。「次の講師は久世先生しかいない!」と思い、協会に同意を得、久世先生に講演のオファーをしたところ、快く引き受けてくださいました。
私と協会の関係は、障がい者支援活動を通して7年になります。今後も、協会と一緒に、野生動物を守ろうという思いが芽生える生物多様性のイベントをご提供していきたいと思っています。

(はやし みのる)

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