天王寺動物園「なきごえ」WEB版

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天王寺動物園zoo friendsの軌跡。そしてこれから。

 天王寺動物園では1976年に大阪動物園ボランティアーズさんが活動を開始されており、42年が経った現在も日曜日に動物の前でスポットガイドをされています。既にボランティア団体があるのにzoo friendsって何すんの??と思いながら、私でもできることがあるなら、とメンバー募集に応募してみました。

 2015年2月に天王寺動物園100周年事業の一環で結成されたzoo friendsは、話し合いを重ねて最終的に3つの班に分かれました。あきない(商い班)・おもろい(マップ班)・アカデミー(ドリル班)です。天王寺動物園100周年記念イベントとして2015年10月24日に開催されたアジア動物園シンポジウムで3つのアクションプランを発表した後、活動継続を表明したメンバーでのボランティア活動が始まります。しかし、始まってすぐの段階でzoo friendsが使えるお金の予算はなく、資金の調達からやらねばならなくなったようで、あきない班の活動は休止せざるを得なかったようです。あきない班のメンバーは「季節のおすすめコースガイドMAPの発行」と「天王寺動物園たんけんドリルの作成」の2班に合流し、翌年の2016年に1年目がスタートしました。

 さあどうぞ! といわれても昨日までは普通の来園者だった人間です。今思えば動物園側の窓口になってくれたスタッフさんも対応が大変だったと思います。私たちメンバー側もいつまでに何をどう詰めていけばいいのか、試行錯誤の連続でした。スケジュールの期限ぎりぎりに気づいて大慌てということも何度もありましたが、マップ班とドリル班は当初目標としていたところまで成し遂げました。
メンバーの中には落語や吹奏楽団とつながりのあるものがおり、2016年から2018年まで半年に1回程度で定期的にイベントを企画し、動物園との調整・開催を受け持ってくれています。

素人寄席天満天神の会の皆様(2017年5月14日撮影)

素人寄席天満天神の会の皆様(2017年5月14日撮影)

 2年目となった2017年は「市民と動物園とのかけはしを目的」として、”自分たちでできる範囲でワイワイと”と決め、市民の皆様も参加できるような、「市民で作る遊具作り」や「お掃除のイベント」を企画し開催しました。遊具作りは捨てられる運命にある使い古しの消防ホースを再利用し、動物にフィーダーとして利用してほしいと企画しました。環境エンリッチメントを推進するものを市民が作り、それを動物たちにプレゼントをするというのは、天王寺動物園では初めてのことではなかったでしょうか。フィーダーの作り方は、順番さえ理解してしまえば小学生の子どもさんもできるぐらいの易しさで、子どもさんたちも大人の皆さんも頑張って作ってくれました。開催に至るまでには天王寺動物園のスタッフさんはもちろんのこと、たくさんの方々のご協力を頂き、参加者さんに怪我やトラブルもなく無事終了しました。この時に作ったフィーダーは1年経った今も使って頂いています。

フィーダーにセットされたおやつを探しているマレーグマのマーズとマーサ

フィーダーにセットされたおやつを探しているマレーグマのマーズマーサ

 

 獣医さんに声をかけて頂き、6月と10月の天王寺公園内の河底池のカメ調査のお手伝いもスタートしました。それまで河底池という池が動物園の隣にあったことも知りませんでした。ここも例外なく外来種のミシシッピアカミミガメやクサガメの住処になっています。捕獲したカメはその日時や体重、体長を計測し、甲羅にはドリルで穴をあけてマークをいれ、またもといた池に戻します。同時に池に生息している魚も調査、記録しています。

捕獲したカメたち

捕獲したカメたち

 

 アジアの熱帯雨林ゾーンで夏に2回ガイドウォークを開催、秋からはコアラ舎前でのフィールドスコープによる観察の補助ボランティアもzoo friendsの活動として開始しました。

 一方でメンバーからも今必要があるのか?と是非を問う声も聞かれたのですが、会則を作る準備に入り、議論を重ねて3月の年度末にようやく出来上がりました。この会則ができていたことで2018年は大阪府社会福祉協議会様よりボランティア助成金をスムーズに受けることができ、資金があるということで活動の幅も広がりました。

 3年目の2018年は、zoo friendsがいったいどういうことをしている団体であるのか?新しいメンバーに加入してほしいと思っても、何をしてもらったらいいのか、私たちもわかりづらいため、やったことのある活動から「基礎的活動」を決めましょうとなりました。そこで2年目にやったことがあり、メンバーからもやりたいという意見が多かったガイドとお掃除の2つを活動の基礎としました。各班にはリーダーがおり、この1年の間に誰が担当しても進めることができるような土台作りをすすめ、実際にイベントとして開催させていただくよう、現在も動いています。また他にやりたい企画があれば(掲示物の作成や遊具作りなど)も各々で企画し、手伝ってくれるメンバーを募って協力しあい、開催しています。しかし2018年は大きい地震が起こったり、台風21号では動物園内にも多大な被害が出てしまったりして、予定していたイベントの中止が相次ぎました。

 3年が過ぎ、4年目を迎えた今年、動物園のボランティア団体としてやっていくにあたり、必要な役割がわかってきました。メンバーの年齢は20代~60代とさまざまで、家庭の事情や仕事もあり、どうしてもできる人間にいろんな作業が集中してしまいます。活動に来れるメンバーもだいたい同じ顔ぶれになってきていました。そこで、天王寺動物園zoo friendsという団体から求められている役割を、自分がやりたいかやりたくないか、できるかできないか、自分がやりたいなと思っていることはzoo friendsにあるのか?をあらためて全員に問い、今年4月から始まる新年度の活動を続けるかを考えてもらうことになりました。月日が経っていく中で、環境の変化があった方も多く、思うように参加ができない方も見受けられていたということも背景にありました。今まで通り続けていくか、時間的に最低限の活動の時間も取ることが難しい方ややりたいことがない方は退会、もしくは企画などはできないけれど、イベント当日に可能ならお手伝い下さるスポットボランティアになるかを選択して頂き、その結果によってはあらたなメンバー募集を考える必要があるのかなと考えています。

 さて、この状態から新年度の活動内容がどうなっていくのかは正直まだわかりませんが、「動物園、ようウロウロしてはるけど、何者なん?」から「zoo friendsさんに頼んでみたら?」ぐらいまでは成長してきたかな、と思います。天王寺動物園を応援し、市民の皆様と動物園のかけはしとして、無理なく楽しく活動を継続していくことが私たちzoo friendsメンバーとしての役目だと思っています。

(いのうえ かずよ)

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