天王寺動物園「なきごえ」WEB版

バックナンバー

ラニー博子の思い出(旧担当者)

メッシか!?いや、オーストリッチだ!
サバンナ最強FW(フォワード)が入園!but(しかし)・・・・・・

チンパンジーのプテリ

 2017年12月にダチョウの雌2羽が、あの茨城県のダチョウ王国より来園しました。しかし、1年以上経つのになかなかアフリカサバンナゾーンに完全デビューできません。

 どんな動物もそうですが、最初は慣れない様子で餌を食べてくれません。1日、2日、3日・・・と続くうちに、流石(さすが)に心配になります。ダチョウさんは、目ん玉より脳ミソの方が小さいと聞きますので、「餌を食べることを忘れている?」との思いで、手で餌を啄(ついば)む仕草をしてあげると、少しずつですが興味を持ってくれるようになりました。ある朝、餌箱を覗(のぞ)くと完食!まずは、ひと安心となりました。

 また、昨年の酷暑でイライラしているのか、ケンカが勃発!首の根元あたりに個体識別ナンバーが付いているのですが、時折196が136にダチョウキックを浴びせているではありませんか!強烈キックに136もタジタジ。寝室の中で仕切りを作って、当分の間、分けてあげることにしました。そうこうしている内に、ケンカをすることも忘れているようなので、再び一緒に。(なんやねん!)

 今は、グランドデビューに向け、グランドに慣らすための放飼も単独で4~5回、行いましたが、電柵突破は毎回!エリアには、大池やモート(堀)があり、大変危険です。

 シマウマのナデシコちゃんに追いかけられ、メッシ級のドリブルで電柵突破を想像すると・・(ハァハァ)。ともあれキリンの、しっぽを突くダチョウさんの光景を目指して・・・・。
あっ!早く、名前付けなくっちゃ、ごめん、196、136!・・・・・つづく。

(清原 明浩)

 

台風21号による被害

 

 9月4日、今世紀最大といわれる台風21号が西日本を直撃し、非常に強い勢力のまま近畿地方を通過し、建物の崩壊をはじめ多数の死傷者を出すほどの被害を起こしましたが、天王寺動物園も例外ではなく、アフリカサバンナゾーンでは大きな樹木が軒並み倒され、重なり合った大木を前にしては容易に入り込めず、まるで本当のサバンナのような様相に途方にくれるしかありませんでした。

アフリカサバンナゾーンの園路をふさぐ倒木

アフリカサバンナゾーンの園路をふさぐ倒木

 もちろん、フクロウ舎が倒木の直撃により崩壊し使用不能になったり、リス舎が飛ばされ、リスが一時逃走してしまう事態や、途中から引きちぎられた大木の枝で、放飼場を埋めてしまうような状況であったほか、周りの大木は根元からなぎ倒されたり途中から折れたりして、その様は一口では言い表すことができず、ただただ立ち尽くすばかりでした。そこで最初に元の姿を取り戻す作業に取り掛かったのがアフリカサバンナゾーンでした。折り重なった木々はとても人が通ることすらできない状況の中、現場を見た職員は、このままではすぐには開園できる状態ではないと一同、肩を落としてしまいました。しかし、一日でも早く動物園を開園しなければいけないという使命感から、全職員がひとつになり、あらゆる機材と重機を駆使し、また人海戦術で倒木の撤去と枝かたづけを行い、3日かけてやっと開園にこぎつけることができました。これには来園者の方々を少しでも早く迎え入れなければならないという職員の思いと同時に動物たちを一日でも早く出してあげたいというみんなの思いが一丸となったからこそ、3日間という短時日に行きつけたのだと思います。

倒壊したフクロウ舎

倒壊したフクロウ舎

ホッキョクグマ舎の放飼場を埋めつくした引きちぎられた枝

ホッキョクグマ舎の放飼場を埋めつくした引きちぎられた枝

 災い転じて福となすではありませんが、これからもより一層災害に強く、動物にも人間にも安心できる施設作りに務め、老若男女を問わず、多数のお客様に安心してお越しいただける動物園をめざして、職員みんなで知恵を絞り、何度でも行きたくなる夢のある動物園にしていきたいと思います。

(文:竹山 俊弥 ・写真:西岡 真)


 

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