天王寺動物園「なきごえ」WEB版

なきごえ 2018年07月号 Vol.54-03

葉月ココ、母になりました

元天王寺動物園・技能統括主任
三浦正明さん

 

 葉月ココちゃんは約4年前の2014年8月9日の夏、天王寺動物園のジャガオルースの間に生まれた雌のジャガーです。

 僕は高知市立の動物園で金魚からライオンまで、これまで様々などうぶつたちを見てきましたが、ココちゃんほどの美しすぎるジャガーに出会ったことがありません。日々の記録のためカメラをむけるたび、黄色と黒色のコントラストが艶々と輝く毛皮のコートを身に纏(まと)った“大阪女子”が、まいどパチッ!と視線を合わせてくれるのです。優美でしなやかな動き、ホンマただ見ているだけでいいのです。

 この美貌に一目惚(ぼ)れしたのは僕だけじゃなく、ルモ(当時8歳7カ月)もそのひとり。2016年4月18日にココ(当時1歳8カ月)が来園し、隣合わせの獣舎でしたが、11カ月間のお見合い期間、おそらく悶々(もんもん)とオリ越しの想いを寄せていたことでしょう。2017年3月ココが2歳7カ月となり、発情周期をよく観察しながら同居を試みました。ネコ科動物はお互いの相性で決まるといっても過言ではないでしょうが、激しい闘争は一度も見られず、5カ月後ついにルモココは結ばれたのです。ちなみに飼育下でのジャガーの性成熟は雌でおよそ2歳半から3歳、雄で4歳以上、また寿命はおよそ20歳ほどです。

 高知へやってきて2度目の冬をむかえ、ココははじめて子どもを産みます。名前は数多く生息するブラジル(伯剌西爾)から「伯・ハク」と命名しました。ココは毎日ハクをかわいがります。とにかく一生懸命で、ジャガーの術を教えています。この孫ジャガーのすくすくと成長する姿を見届けたかのように、今年3月、22歳と国内最高齢だったハル小母ちゃんが、そして4月、ジャガオじいちゃんが天国へと旅立ちました。

 現在、日本国内で飼育管理されるジャガーは、わずか14頭しかいません。全国の動物園がジャガーの繁殖に力を合わせなければ、近い将来、本当に日本からいなくなってしまいます。この力強く美しい魅力たっぷりなジャガーの保全に私たちはこれからもがんばっていきます。みなさん、赤ちゃん誕生のハッピーなnewsなど期待しててくださいね♪

 応援よろしくお願いします。

(よしかわ たかおみ)

 

ジャガーのフォトアルバム(わんぱーくこうアニマルランド)

左:ココ スマイル・右:ルモ

左:ココ スマイル・右:ルモ

 

惹かれあう二人

惹かれあう二人

 

惹かれあう二人

ココ母になる(2017年12月6日)

 

産室のココとハク(2017年12月15日)

産室のココハク(2017年12月15日)

 

生後45日目、放飼場トレーニング風景(2018年1月19日)

生後45日目、放飼場トレーニング風景(2018年1月19日)

 

ココと生後48日目のハク(2018年1月22日)

ココと生後48日目のハク(2018年1月22日)

 

ハク展示場練習(2018年1月29日)

ハク展示場練習(2018年1月29日)

 

ハク初めて立ち上がる(2018年2月14日)

ハク初めて立ち上がる(2018年2月14日)

 

愛深き母・ココ(2018年5月10日)

愛深き母・ココ(2018年5月10日)

 

子どもを見守るココの視線(2018年5月24日)

子どもを見守るココの視線(2018年5月24日)

 

 

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