① ツルとダンス
一生同じ相手と連れ添うツル類のペアは、よく2羽でダンスを踊ります。いわゆるツルの舞いと呼ばれるものです。ツル舎でくらすオグロヅルの雄のヤブサメは1羽で飼育しているためか、よく私たちをダンスに誘ってきます。ツルのダンスには始まりと終わりがあります。その中には振付の順番や雄パートと雌パートがあり、ただ一方的に跳ね回っているだけではダンスは成立しません。うれしそうに口を開け、時には小枝を投げ合い、お互いの気分やタイミング、気持ちと呼吸を合わせて踊り、最後に終わりのポーズで終えます。しかし気難しいヤブサメには「いっしょに踊ろう」と「ここは俺のなわばりだ」の気持ちがあって途中でやめてしまうことも多く、私も終わりまで踊れたのは数回しかありません。
先日もヤブサメの池を掃除しながら彼の誘いで踊っていると、斜め向かいにあるトイレ前にいるお客様が、何やら冷ややかな笑顔でこちらを見ていました。そしてあることに気づきました。園路のお客様の位置からはヤブサメの姿が見えないのです。そこに映っていたのは、ツルの展示場の池の中、笑顔で両手をパタパタさせながら首を上下に振りながら踊っている私の姿でした。やってしまいました。
(西村 慶太)
「踊ろうよ」とダンスに誘うオグロヅルのヤブサメ
② ヨウスコウワニの同居
は虫類生態館(アイファー)では、現在雄2頭、雌2頭のヨウスコウワニを飼育しています。展示場は屋外と屋内の2カ所あり屋外展示場では相性のいい雄と雌を常に同居させ、屋内展示場では雄と雌を交互に展示しています。
ヨウスコウワニの繁殖期は5月から6月頃で4月後半からコミュニケーションをとるための鳴き交わしが頻繁に行われるようになります。
屋外のペアは相性がいいようでお互いに鳴き交わしをして交尾体勢をとりますが完全に交尾に至っていないため、交尾を誘導させるように取り組んでいます。これには飼育員が展示場の柱を叩く音がワニの鳴き声に似ていることを利用。勘違いさせたワニに交尾姿勢に入るよう1日に何度か柱をたたいて誘発しています。現状では雄は交尾姿勢に入りますが雌が完全に受け入れていないため交尾には至っていません。 今後繁殖に向けて条件を変えてみたりして色々試していこうと思います。
(長谷川 真登)
繁殖が期待されるヨウスコウワニのカップル