〜 天王寺動物園発行情報誌 〜
『なきごえ』9月号       
   
キーパーズアイ
      
動物園の意外な生き物

 皆さんはショウリョウバッタというバッタをご存じですか? メスは体が大きく、オスはメスの半分程の大きさで、飛ぶと「キチキチ」と音がするので「キチキチバッタ」等と呼ばれたりもします。
 そのショウリョウバッタですが、アジアゾウのグランドの周りや、その横の旧のキリン舎のグランドの周りにも毎年、夏になるとたくさんのショウリョウバッタが、姿を現します。
 バッタの色は?というと基本的には緑色なのですが、ショウリョウバッタの場合、生活環境にあわせて色々なバリエーションがあり、緑一色の他に緑色の中に白っぽいスジの入ったものやら、枯れた草のように茶色い色をしたものもいます。鳥やカマキリ等の天敵に見つからない為に、周りの色に合わせているのでしょう。確かに、草むらの中でジットされると、なかなか見つからないものです。
 6月ごろに体長およそ2cmほどの子バッタが、8月には立派な成虫になり、秋には交尾産卵をすまし、その短い一生を終えてしまいます。
 毎年暑くなってきた頃、ショウリョウバッタの姿を見つけると、虫捕りに夢中だった頃を思いだします。そして、たいして広くない敷地の中で、毎年確実に子孫を残していることに感心しています。
 なかなか気づきにくいのですが、動物園には、飼育展示されている動物のほかにも、人知れず一生懸命生きている、さまざまな生き物がいるのですね。

飼育課 油家 謙二