〜天王寺動物園発行情報誌〜なきごえ.2001年10月号

1999年4月1日、大阪市建設局に新しい業務「企画調整」が発足し、天王寺動物園の飼育課飼育係にも企画調整業務ができました。以来2年余りが過ぎ、この間、企画業務を行なってきましたので、その内容を報告をします。(飼育課:丸本 守)
企画調整業務としてのさまざまな取り組み
 この企画調整業務の仕事としては、教育普及に関する事、園内の行催事に関する事、職員の研修に関する事などがあります。園内での教育普及では、幼稚園・小中学校の園児・児童に対する動物説明・動物講話・見学指導・職場体験学習などを行ない、また園外では依頼に応じて動物講話などを中心に行なってきました。

小学生対象の動物講話 
  小学生対象の講話では、同じ学年の児童だけであればお話がしやすいのですが、1年生から6年生まで一緒のときは苦慮します。低学年中心にお話するのか、高学年に合わせるのか。また低学年の児童に、お話だけを長時間にわたって、静かに聞いて頂くには苦労しました。 そこで極力ビデオを利用し、子どもたちに次はどんな場面だろうと、視覚に訴えることで、興味を持たせることがとても大切だということがわかりました。子どもたちはほんとうに純真です。「わかったかな?」と問いかけると、「動物のお話ありがとう。大変おもしろかった。もっといろんな動物を知りたい」との言葉をもらったり、お礼の手紙を頂いたときは、この仕事をやっていて本当に良かったと素直に「ありがとう」「また動物園に来てね」という言葉がでてきます。




小学生を対象とした動物のお話

園内でワークショップ親子で作る巣箱教室

職場体験学習
 月に1回、中学生・高校生・専門学校生を対象に、午前9時30分から午前中行なっています。内容は動物や飼育係の仕事の説明などで、あとで生徒からの質問を受けています。生徒たちはこの仕事の業務を身近に考え、真剣に仕事に携わる人たちの作業内容には、懸命に耳を傾けてくれます。動物園に興味本位 で参加している生徒もいますが、途中からは目つきが変わったように聞き入ってくれます。

 いろいろな質問がありますが、一番多いのは、「どうしたら飼育係になれますか。飼育係になるには資格がいりますか。飼育係になって楽しかった事、苦労した事は何でしたか」というものです。私は33年間の飼育係経験をもとにした説明を行なっています。
  現在では動物園の飼育係は、非常に魅力ある、希望者の多い仕事になっています。近い将来、天王寺動物園でのお話だけでなく、動物飼育の体験ができる「飼育体験学習指導」を行なえたらと考えています。

園内行催事
 展示室において「干支の動物展」・「動物いろいろ展」・「動物ウンチいろいろ展」を、それぞれ1〜2カ月間行ない好評を得ました。今後も機会があるごとに続けてまいりたいと思っています。また、昨春には「親子で作る巣箱教室」を開き、2年目の今年は作った巣箱を参加者全員が持ち帰るなど、大変好評でした。
  このような催しを今後とも続けて行きたいと思っています。

障害者の方への取り組み
 障害者の方に対しては、動物の匂いをかいだり実物大の動物のブロンズ像に触れて、動物の大きさや形の説明をする、園内をウォーキングガイドしています。またレクチャールームでは、剥製を触って動物の大小・種類・肌触り等で動物の仕組みを知ってもらい、生きた動物ではヒヨコ・カメ・子ウサギ・ドジョウ等に触れてもらう一方、様々な動物たちの餌・乾燥した糞などを触ってもらい、動物をより深く理解をして頂くようにしています。  
ドジョウの触察
ドジョウの触察
視覚障害の子どもたちは、ドジョウにいちど興味を示すと、夢中になって触っています。  
 以前にドジョウに触って頂いたコーナーでは、最初は恐々ではありましたがだんだん慣れてきますと、子どもたちは興味を覚えたのか、大変喜んでいる姿には私も驚きました。
 今後も障害者の方々に、動物のことをもっと知って頂けるように様々な工夫をし、努力をしたいと考えています。

 講話依頼があった場合は、園内のレクチャールームを利用して講話を行なっています。  園外での講話も依頼に応じて行なっていますが、今後は園外での講話依頼も多くなっていくだろうと思っています。  講話は、小・中・高校生・専門学校生らを中心に、「動物生態」「動物の子育て」「動物の種類ごとの解説」「飼育係の業務」「飼育係の仕事について」など、希望されるテーマに沿った内容をメインにお話しています。中には、保育士を養成する短大生から「保育士になったときに動物をどのように教えるか」などの依頼や、中学生・高校生が修学旅行中の一環として来園されることもあります。また、大阪市の職員の研修で天王寺動物園の概要説明・園内案内や当園の飼育職員の技術研修も行なっています。




園内レクチャー

動物君たちの一日
 入園客を対象にした動物講話は1999年7月から、毎月第2・4土日に「動物君たちの一日」と銘うって、園内レクチャールームで行なっています。 これは日頃入園客が見ることができない動物飼育の裏側を知っていただき、動物園への理解と親しみを深めるとともに、人も動物も同じ地球に共生する大事な仲間であることを改めて知っていただくために行なっているものです。

  朝の展示から夕方の収容までの動物飼育の様子、展示・清掃・餌づくり・馴致・収容などをビデオテープを交えながら、担当飼育係員が説明を行なっています。
  人気のある動物がテーマとなるときには、レクチャールームは、あふれんばかりのお客さんで埋まります。いかにお客さんが、動物に直接に接している我々飼育係の生の声に興味を持ち、関心を寄せているかがわかります。
  今後「動物君達の一日」は、内容を豊富にし、入園客のニーズに応えられるように一層の発展を目指して行なってまいります。



動物園獣医さんのお話
 毎月第3日曜日の「動物園獣医さんのお話」は、天王寺動物園飼育課の獣医師が動物園での動物の治療や病気についてのいろいろな話題を、スライドをまじえて講話するものでこれも人気のある催しの一つです。  子どもから大人まで、動物の診療の様子やむずかしさなど、より一層理解を深めていただくために行っています。
園長の動物講座
 
偶数月の第2日曜日の「園長の動物園講座」は、平成11年10月より行なってきました。動物学講座・動物不思議発見・動物園の歴史・動物渡来物語・恐ろしい人と動物の感染症・海外の動物園などの講演をスライドをまじえながら行ないました。平成13年4月からは「動物歴史シリーズ」の第1回が、ゾウから始まり、ラクダ、ライオンへと進んでいます。

園内レクチャー
園内レクチャールームで各種の講座を開講しています。



魅力ある動物園を目指して
 このようないろいろな動物講話を定例化して2年余り、少しずつではありますが固定のお客さんも増えてまいりました。今後、ますます企画を充実させ、より魅力ある動物園・入園客の増加につながりますように、工夫をこらしながら企画立案をし、努力したいと考えております。また、様々な広報誌に天王寺動物園の行催事を載せて頂き、大阪市民のみなさまはもとより、一人でも多くの方々に来園して頂き、動物園への理解と親しみを深めていだだきますように努力するつもりです。みなさまのご協力よろしくお願いいたします。

 

前のページへ
つづきがあるよ

Osaka Municipal Tennoji Zoo. Nakigoe vol.37-10.copyright october 2001