アフリカサバンナゾーン肉食動物エリアの癒し


 天王寺動物園のアフリカサバンナゾーンで、いかついライオンとブチハイエナの間にひっそりと、ひときわ可愛い存在のケープハイラックスを展示しています。見た目はウサギというかネズミというかタヌキのような姿をしています。これが小さな体に目がクリッとしていて物凄く可愛いく、ちょこちょこ動き回っています。

 ケープハイラックスは、ウサギぐらいの大きさで、毛の色は灰褐色と黄褐色、可愛い尾っぽがあり、短い肢には前足に4本、後足に3本の指があります。実は分類学上ゾウに近い動物といわれています。雄の方が一回り大きく、1頭の雄と複数の雌、そしてその子どもたちからなる家族群を作り、岩場の割れ目などを利用し数十頭の群れで生活しています。

 野生では草や木の皮などの植物を食べるので、天王寺動物園では、白菜、リンゴ、青草、ヘイキューブ(干し草を圧縮して四角に固めたもの)に、キリンに与えている樫(かし)の枝を少し分けてもらって与えています。その樫(かし)が大好物です。糞(ふん)は毎日決まったところにする習性があります。

 

ケープハイラックスの餌

ケープハイラックスの餌

 ケープハイラックスは、他の哺乳類に比べて体温調整が下手で、寒いときは日向ボッコをして体を温め、暑いときは日陰で体を冷やして体温調整をしています。天王寺動物園では夏は扇風機、冬は床暖房をつけています。

 一夫多妻制で妊娠期間は長く、8カ月ほどで1~3頭を出産します。妊娠期間が長いため、赤ちゃんは発達した状態で生まれ、すぐに歩くことができ、目も見えています。2カ月ほどで離乳し、生後1週間~2週間ほどで固形物を食べ始めます。2年~3年ほどで親と同じ大きさになり、寿命は10年ほどです。

ケープハイラックス

 1対の長い牙を持ち、足裏は柔らかく汗に似た分泌物を出し、岩のぼりや木登りが得意です。
天王寺動物園では、雄のソラと雌のユメヒカリとの間に、2014年に1頭、2015年には2頭、今年は3頭の雄の赤ちゃんが生まれました。今年の子どもたちを3太郎と呼んでいます。これがまた可愛くて、お母さんの背中の上が大好きで取り合いになったり、3頭で喧嘩(けんか)に似た遊びをしたり、親たちに負けず必死に樫の枝を食べたり、仲良く3兄弟はいつもくっついています。

ケープハイラックス

 この子たちを見ていると本当に癒され、飽きることはありません。毎年順調に出産してくれ、今年は6月、去年は8月、一昨年も8月なので来年の夏が楽しみです。

 みなさんも是非アフリカサバンナゾーンのサバンナテラスでハイラックスたちに癒されてください。

 

(町出 猛)


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