手ぶらでは帰らせないアフリカサバンナゾーン


 アフリカサバンナゾーンの草食動物舎の担当となって、はや1年半。これまでの経過をグラントシマウマ中心にお話ししましょう。草食動物舎には、グラントシマウマ3頭、エランド1頭、ホロホロチョウ8羽、コフラミンゴ19羽がおり、キリン舎の幸弥とと共にアフリカサバンナゾーンを盛り上げてくれている動物たちです。グラントシマウマは、ヒデヨシ(雄)、ミカ(雌)、ナデシコ(雌)というメンバーを飼育しています。

 ヒデヨシは1992年生まれの雄でリーダーです。少し小柄ですが、筋肉質のグラントシマウマです。現在は、繁殖を制限しているので、アフリカサバンナゾーンのサブパドックでの展示となっています。メインのサバンナゾーンでは、ミカナデシコがグランドを駆け回っており、ミカは22歳のおばあさんシマウマで、足の方が少しヨタヨタとなりはじめています。これまで5頭の子どもを産んでおり、直近では2014年11月にヒデヨシとの間に、ヒデミ(雌)を産み、お客様の目を楽しませていました。ミカはブリーディングローン(動物園間の動物の貸し借り)で仙台市八木山動物公園から借り入れていたため、その子のヒデミは八木山動物公園に所有権があり、ミカの生まれ故郷、仙台の八木山動物公園へ搬出することになりました。

 大型の草食動物は、輸送用の専用箱に入れて輸送します。グラントシマウマの体型より一回り大きなクレートという輸送箱に入れるのですが、すぐクレートに入れて運び出すというわけにはいかず、2週間ぐらいその中に出入りさせて、慣らす必要があります。まず、動物舎の部屋とクレートを行き来できるように横付けし、クレートの中に餌を置いて、その中に入ることに慣れさせます。

馴致のため動物舎に横付けした輸送用のクレート

馴致のため動物舎に横付けした輸送用のクレート

 そして、搬出当日、クレートの中に入れる作業なのですが、グラントシマウマの後ろ蹴りを浴びせられないように、注意して追い込みます。一度目は、クレートをグラントシマウマのパワーで動かされ失敗となり、クレートの固定を再度補強して再チャレンジし、追い込むことに成功しました。そして、輸送業者さんに一晩かけ、仙台へと輸送していただき、無事に到着との報告を受け、初めてのこともありほっとした次第です。

 

仙台へ搬出されるヒデミ

仙台へ搬出されるヒデミ

 次に、ナデシコですが、東武動物公園から来た2008年生まれの雌です。ナデシコに関しては、少し悩みの種を抱えております。それは、お腹に腫瘍ができることです。これまでに2回の手術をしました。2014年12月に1回目の摘出手術をした時は、こぶし大の腫瘍を獣医さんに除去してもらいました。

獣医師による腫瘍摘出手術

獣医師による腫瘍摘出手術

 しかし、翌年には再発し、今年に入って2回目の手術となりました。前日には絶食させ、当日は動物舎にて麻酔銃により、眠らせての手順となります。獣医師の連携によりテキパキと摘出手術を行いました。約3時間の手術が終わり、麻酔薬の拮抗剤(きっこうざい)を注射すると麻酔が切れてすぐに立ち上がりました。このような状況ですので、再々発の可能性については否めませんが、見守っていきたいと思っています。

 グラントシマウマは、草食動物ということもあり、大変警戒心の強い動物です。人間にも懐くことはあまりありません。座ったりすることもまずないと、思っていました。しかし、ヒデヨシが動物舎で、「ちょこっと」座っているのを目撃したことがあります。また、ペレット(固形飼料)を差し伸べると、直接手から食べることがあるので、少しですが信頼関係が築けたかなと思っています。

 ヒデヨシミカに関しては、そろそろ熟年になってきたので、少しでも長生きしてもらいたく、また、キリン、エランドたちとこれからも、お客さんを癒していく存在として、アフリカサバンナゾーンを駆け回ってもらいたいと願っています。

 

(清原 明浩)


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