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“新米ゾウ係糞闘記”を連載していた西村主任が、なんと今やゾウチームのリーダーとなり“ベテランゾウ係“になってしまったので、2015年4月よりゾウチームに加わった2人の飼育係が西村主任お得意の「むちゃぶり!」によって継承することになりました。ということで今後ともよろしくお願いします。 鼻にリンゴを渡す筆者 3個のリンゴを手に取り、安全な位置から1つずつ鼻へ渡し、ラニー博子がそれを口へ運んで食べるのですが、ここで重要なルールがあります。それは「落としたリンゴは拾うな!」です。もし拾ってしまうとどうなるのでしょうか?ゾウは人間がか弱いことを知っています。もし普段から気に入らないと思っている獣医師、あるいはイタズラをしても叱らない(正確にはまだ叱ることが出来ない)飼育係の隙をずっと狙っているとします。そして落ちたリンゴを拾いゾウから目を離した瞬間にゾウが待ちに待った“隙”がうまれて、重さ150kgの鼻が後頭部へ振り下ろされるというのです。危険事例はだいたい魔がさした一瞬に起こることが多いと言われていて、それはゾウが常にチャンスを狙っているというのです。そして基本的には鼻や口から落ちたリンゴはラニー博子の物で、それを 拾う=奪う という思考回路であるため、とにかく拾うなという教えです。 そして2016年1月1日、朝の作業が始まるとき先輩飼育員の尾曽さんが「今日からリンゴ口にやって」新しい作業が増える時はいつもこんな感じで突然です。こう告げられた私は「いつも先輩がやっているのを見てるし大丈夫やろ」と余裕すら漂っていました。そして給餌のため3切れのリンゴを握りしめ寝室へ向かって3歩前へ進み、真上を見上げるとラニー博子が大きな口を開けて待っています。「デカい!こんなに大きかったかな!?」 たかが3歩近づいただけで、しかも柵を挟んでいるにもかかわらず全く見え方が違うことにまず驚きました。頭では理解できているつもりでしたが改めてその大きさに圧倒されました。そして開いた口から巨大な舌が出てきて、その上にリンゴを乗せるのですが、口内の柔らかさと唾液量の多さに感激したのを鮮明に覚えています。 口の中にリンゴを入れる筆者
(河合 芳寛) |