〜 天王寺動物園発行情報誌 〜
『なきごえ』5月号       

   
      
アミメキリン「だいち」がやってきた
写真撮影 :飼育課          高見一利
阪神パーク甲子園住宅遊園 稲垣俊氏
                 文 :飼育課          西村慶太
アフリカサバンナ区草食動物ゾーンにキリン達が引っ越しをして約1年。当園のキリン達の繁殖計画のため、さる3月5日、阪神パーク甲子園住宅遊園よりオスのアミメキリン「だいち」(呼び名:ケニア)をブリーディングローンで迎え入れました。成獣のキリンの輸送は大変な作業で、ましてや体の大きなオスとなると、背丈も体重もメスや子どもとは、桁違いに大きくなるため危険をともないます。今回はそんな「だいち」の搬入風景を紹介したいと思います。 


   
@ 3月5日午前8時   専用輸送オリに収容された「だいち」。オスは体が大きいためオリも従来の物を強化してあります。初めての体験に不安そうな「だいち」。
  写真提供:阪神パーク甲子園住宅遊園
A 「だいち」の入ったオリを、クレーン車を用いてトレーラーに積み込みます。メスや子どもの輸送とは異なり、オスの輸送にはクレーン車もトラックもより大型の物が必要なのです。
写真提供:阪神パーク甲子園住宅遊園
B トレーラーに乗せられ、いよいよ阪神パークを発つ「だいち」。うまれ育った所を発つ「だいち」、そしてそれを見送る担当飼育係の皆さんの思いは、きっと複雑な心境なのでしょう。
  写真提供:阪神パーク甲子園住宅遊園

C ようやく天王寺動物園へ到着した「だいち」。トレーラーでは大きすぎて動物園内へ入れないため、小さなトラックへ積みかえられました。
D クレーン車と共に、いよいよ動物園内サバンナゾーンへ向います。 E クレーン車で輸送おりを吊りキリン舎前へ降ろします。おりの下で我々職員が向きを調節します。危険な作業にわれわれの緊張感も高まりっぱなしです。
 
F クレーンからオリを降ろして、細かい位置は人力で調節します。「だいち」の不安もきっとピークに達していることでしょう。 G オリの位置が決まったら、オリをがっちりと固定します。動物を輸送オリから出す時が、大型動物移動作業中、最っとも危険な時です。恐怖を感じつづけた動物が、力まかせに飛び出す恐れがあるからです。そのためオリから出す時は、お尻から出す事が我々の基本となっているのです。
H 「だいち」がオリの中で向きを変えてしまい、仕方なく頭から出すことに。でも、「だいち」は新しい環境を警戒し、なかなかオリから出ませんでしたが、無事キリン舎へ収容する事ができました。 I そして4月2日、「だいち」はサバンナグラウンドへ出る練習を開始しました。神経質な成獣のキリンが新しい環境に適応するのは大変な事なのです。でも、「だいち」は皆様にその立派な姿を見せられるよう、毎日がんばっています。