サル・ヒヒ舎の仲間たち


 今回は私が担当しているサル・ヒヒ舎のサルたちについての紹介をします。現在サル・ヒヒ舎にはアフリカのブラッザグエノン、アジアのシシオザルやフランソワルトン、南アメリカのフサオマキザル、マダガスカルに生息する原猿類のエリマキキツネザルなど11種29頭を飼育展示しています。この中には通路で餌を作っていると小窓からその様子を見るや扉をたたいてせがんでくるサル、放飼や収容の時に寝室と展示場の間の通路を猛ダッシュで駆け抜けるサル、日本では天王寺動物園でしか見ることができないドリルなど様々なサルたちがいます。ちなみにサル・ヒヒ舎以外では夜行性動物舎でレッサースローロリスという夜行性のサル、類人猿舎ではチンパンジーを飼育しています。

ブラッザグエノン

ブラッザグエノン

ドリル

ドリル


 2015年は国際テナガザル年といって毎年絶滅の危機にある動物の現状を知ってもらうべく、国際自然保護連合(IUCN)が動物種を選定し、国際的なキャンペーンを行っていて、今年はテナガザルの保護・保全活動などに力をいれ啓発活動を行っています。天王寺動物園ではテナガザルの仲間としてフクロテナガザルを展示しています。現在、両親と子どもの3頭がいます。子どもはこの両親の3番目の子どもなので名前をサンキチといいます。1番上のお兄さんのイッチは仙台市の八木山動物公園へ、2番目のお兄さんのニッチは中国の上海動物園へ行きました。フクロテナガザルは8歳くらいになると自分の家族を作るため、親から自立をしなければなりません。今、サンキチは2歳なのでまだしばらくはお母さんに甘えることができそうですね。

フクロテナガザル

フクロテナガザル

フクロテナガザルの親子

フクロテナガザルの親子


 フクロテナガザルの特徴は名前のとおり、のどの大きな袋と腕の長さにあります。腕は足の長さよりも長く、この長い腕を使って私たちが公園の雲梯(うんてい)をする時のように、いえ、それよりもはるかに軽快に腕わたり(ブラキエーション)をします。もう1つの特徴ののど袋ですが、これを膨らませて大きな声で「歌う」ことができます。この歌声、しょっちゅう聞けるわけではありませんが、多い時で1日2、3回、その歌声を聞くチャンスがあります。歌いだしたらおそらく多少離れていても分かると思います。それくらい大きな声で歌ってくれます。歌はすぐには終わらず長い時は30分以上続きますので、園内で何やら大きな声が聞こえたら是非、彼らのコンサートを鑑賞しにきてください。

 サルたちは夕方3時すぎになると展示場から寝室へ移り、そこから食事の時間になります。夕方サル舎を訪れて展示場で姿が見られない場合は裏側の屋内観覧通路から食事の様子や食事を終えてくつろいでいるサルたちの様子を見ることができます。展示場の時の様子とはまた一味違う雰囲気で見ることができると思いますよ。

 

(市成 崇)