天王寺動物園では1995年にZOO21計画という動物園の将来計画を立てました。ZOO21計画では、「種の保存」に積極的に取り組むこと、古い動物舎の立替では生態的展示を取り入れ、展示をとおして動物とそれを取り巻く自然環境を多くの人に考えてもらう「環境教育」の場とすること、動物園全体に自然環境を再現し「市民のオアシス」とすることを目標としています。

 いろいろな動植物がどのような自然環境の中で生活し、その中でどのような役割をはたしているのか、また、現在どのような状況にあるのかといったことを動物園で多くの人に知ってもらう、あるいは考えてもらう機会を提供することが動物園における「環境教育」です。現在、世界中で自然環境の破壊が進み、野生生物の絶滅や、絶滅の危険性が高まっている状況下で、この「環境教育」は「種の保存」とともに現代の動物園が責任を持って取り組むべき2つの大きな役目だとされています。

 動物を飼育して多くの人に見てもらうことを展示といいますが、この「環境教育」を実現するために、展示方法に、ある工夫が考えられました。それは生態的展示といい、動物が暮らす風景を植物や岩組み、川などの水辺の地形を再現してその中に動物を展示する手法です。生態展示の方法は、こうした環境教育を提供する場として欧米の先進的な動物園で発展しました。また、同時にいろいろな解説のための手段である解説板や模型などのサインも発展しました。


ZOO21計画ですでに完成している新5施設


 ZOO21計画の第一弾として1995年3月の爬虫類生態館“アイファー”のオープンを皮切りに、その後、カバ舎(1997年7月)、サイ舎(1998年10月)、アフリカサバンナ区草食動物ゾーン(2000年8月)、アジアの森・ゾウ舎(2004年1月)が次々とオープンしました。今年の夏からは、いよいよアフリカサバンナ区肉食動物ゾーンの工事が始まり来年夏のオープンを目指します。ZOO21の施設についてはグラフZOOをご覧ください。

(飼育課:高橋 雅之)


アフリカサバンナ区肉食動物ゾーン完成予想図