アオハリトカゲは、アメリカ合衆国南部、メキシコ州南部からテキサス州南部にかけて分布。乾燥した岩場に住み、体長は21〜28cm。体はかなりとげとげしく首にははっきりとした、白く縁取られた黒い首輪模様、そして尾には黒いリング模様が入っています。また、オスは青緑色っぽく、メスは茶色っぽく、くすんだ色をしています。昼行性で、昆虫や花、葉などを食べ、胎生であるメスは6〜7月に7〜11頭の子どもを生みます。

当園のアオハリトカゲ
 爬(は)虫類生態館アイファーでは、展示室においてオス2頭、メス1頭、バックヤードにオス1頭、メス2頭の成体を飼育しており、ここ数年繁殖に成功しています。
  昨年の春、展示室で7頭が繁殖し親子の展示を試みましたが、オスも同居していたせいなのか?無惨にも食べられてしまう結果 に終わりました。今年も交尾行動が見られましたが、その後、闘争も激しく、メスにも害を及ぼし繁殖に至りませんでした。一方、バックヤードにおいては、昨年春に2頭のメスが、3月17日に6頭、4月26日に7頭と繁殖に成功し、今年も3月15日早朝、8頭の子どもが生まれているのを発見し、すぐにプラケースに移し親とは離して飼育しました。しかし、もう1頭のメスからは生まれることはありませんでした。
  生まれた子どもは、体長3cmほどで首には、親と同じリング模様が入っています。餌は、人工的に繁殖させているコオロギの1齢に必ずカルシウム、または、ビタミン剤をまぶし(親も同様)、毎日1回適量 を給餌しています。

バックヤードでの飼育環境
  バックヤードでの親の飼育環境は、室内温度20〜35℃、湿度は天気の良い日は、20〜35%。雨の日は40〜50%。ケージは120×60cmのアクリル水槽で上部はメッシュの金網状になっており、床材には砂を敷き、シェルターにはブロック2個、割れた植木鉢を数カ所設置しています。ホットスポットを1カ所設置し、直下では35〜40℃、9:00〜16:00までの間、点灯させています。また、時に日光浴はさせず、高さ90cmからの紫外線灯の照射をしています。
 現在では、天気の良い日には、日光浴を心がけ、体長も10cmにまで成長しています。しかしながら、数日前に私の不注意で日光浴をさせた後、シェルターがずれて下敷きになっているのに気づかず、1頭死亡させたこともあり、今後、注意し元気に成長させていきたいと思っています。(飼育課:久田治信)




 ナンベイウシガエルは、その名前の通り、ブラジル等南米に分布する大型のカエルです。日本に帰化しているウシガエルとは、姿形はよく似ていますが、分類学上はナンベイウシガエルはミナミガエル科、ウシガエルはアカガエル科で異なった仲間です。
 このミナミガエル科の仲間には、ペットショツプなどでよく見かけられる、顔が大きく目の上が角のように尖った「ベルツノガエル」や和菓子の饅頭に目玉 だけをくっつけたような「タピオカガエル(バジェットガエル)」がいます。ナンベイウシガエルは貪欲で様々な昆虫や小型のネズミ、他のカエルまでも食べます。夜行性で原生林の林床地にすんでいます。

 当園のナンベイウシガエルは、1998年、鳥羽水族館から幼体でもらったもので、爬虫類生態館で飼育を始めて、2000年8月22日オス4頭とメス2頭の飼育群で初めて産卵がありました。その時の飼育環境は、長さ120cm、高さ55cm、奥行き60cmの水槽を使い、その中に水場と陸地を作り、陸地の奥より水槽の壁に沿って濾過した水をシャワーで流し、循環させました。本来の生息地では、原生林の水場近くの林床地を掘ってくぼみを作り、産卵するという習性があるとのことで、水槽の中でもそれになるべく近いレイアウトにしました。
オタマジャクシの産卵から、ふ化まで
 このカエルは「泡巣」と言って、まるで卵の白身を泡立てて作る料理のメレンゲのようでもあり、また、洗濯機の中で出来る泡状のようにも見える形で産卵します。初めてこの「泡巣」を見た時は、何があったのかとビックリした程です。この「泡巣」は長さ21cm、横幅17.8cm、高さ3.5cm程で、周囲にも泡が薄く所々広がって、こびりついており、その性状は表面 は粘りこく、内部は水分が多くサラリとした感じでした。

 産卵から6日目、「泡巣」表面に黒いブツブツが見え隠れしはじめ、ふ化したオタマジャクシを確認できるようになりました。体長8〜10mm、頭部幅は2〜3mmで、ふ化が始まってから1週間目にはピークをむかえ、「泡巣」が大きくふくれ上がり当初の約倍量 に増大、ピークから7日目頃には「泡巣」がくずれ始め流れだし、それとともにオタマジャクシも水場へと泳ぎ出ていきました。8月22日に産卵が見られてから9月4日頃には「泡巣」はすっかり自然消滅してしまいました。
 オタマジャクシのふ化数は、8月22日の産卵の1回目は275匹。同一群の別 固体の9月29日の2回目は251匹で、総数はなんと526匹にもなっていました。しかし、成長に伴い成育数は3分の1程度に減少しました。

成長段階別展示の試み
  オタマジャクシは、成長段階ごとに数十匹単位で水槽に入れて展示をしました。国内で自然にオタマジャクシが見られるのは、場所にもよりますが通 常は春です。ですから、当園で秋(9〜10月)に展示しているのを見て、お客さんは「見て見て! 今頃オタマジャクシ」、「変態のようすが勉強できる」との声もあり大変好評でした。
 餌は、初め熱帯魚用のフレークフード、少し育ち後肢が出る1週間目頃には、アカムシとフレークフードを与えました。さらに1週間後前肢が出始め、順次上陸をし始め、上陸して5日〜7日で尾は完全に吸収されました。2cm程の完全な幼ガエルになる時期には、1〜3齢のコオロギを与えました。上陸から9ヵ月の現在の幼カエル達は、体長8cm前後に成長し、コオロギの親もなんなく食べてしまいますし、他の昆虫も口に入れば何でも食べてしまう程になりました。来年にはまた産卵があり、「泡巣」が見られることでしょう。(飼育課:仲谷 登)



Osaka Municipal Tennoji Zoo Nakigoe vol.37-7.july 2001