ジャガーの赤ちゃんが生まれました

ジャガーの赤ちゃんが生まれました


 天王寺動物園では、21年ぶりにジャガーの双子が誕生したのでスタッフ一同大喜びです。これまでの経過を皆さまにご紹介したいと思います。

 当園では、2002年に秋田市大森山動物園から来園(※ブリーディングローン)した1995年11月27日生まれで間もなく19歳になる雄ジャガオと、中国の上海動物園から親善動物として3年前に来園した2008年9月29日生まれで今月6歳になる雌のルースを飼育しています。

 

逃げそうなルースを押さえようとするジャガオ

逃げそうなルースを押さえようとするジャガオ

 

 ルースが4歳になった2012年にやっと発情の兆候が表れてきましたので、そろそろ繁殖に向けて同居してみようということになりました。しかし、ジャガオはすでに17歳とかなりの高齢でこの年の差カップルでうまく繁殖できるか心配でした。2頭の寝室は隣どうしで、網越しのお見合いでは相性が良さそうな感じでした。ルースの発情のピークを見計らって、いざ同居です。もし闘争を起こすと相手をかみ殺してしまうこともあるため、強い勢いで水が出る高圧洗浄機を用意していましたが、それほど大きなもめごともなく徐々に同居する時間を長くしていき、発情期間中はずっと同居できるようになりました。

 

えっ逆やんか〜〜(左:ジャガオ雄 右:ルース雌)

えっ逆やんか〜〜(左:ジャガオ雄 右:ルース雌)

 

 ルースに発情が来るごとに同居を繰り返していましたが、ジャガオルースの上に乗りマウントすると、もう少しというところでルースが動いてしまい交尾が成立しない日々が続いていました。寒さが苦手なジャガオは冬場の交尾行動にも元気がありません。我々スタッフもジャガオ頑張れ、ルースもう少しじっとしてくれと2頭を見守っていました。同居開始から1年半近くが経過し、周りもあきらめムードになりかけていましたが、我々スタッフはジャガオが元気なうちに何とか子孫を残して欲しい、苦手な冬が来る前に交尾を成立させてくれと願っていました。

 

交尾したいジャガオに抵抗するルース

交尾したいジャガオに抵抗するルース

 

 2014年4月末に発情がきたので同居をしました。少し暖かくなってきたのもあってかジャガオからやる気を感じていましたが、観察している限りではいつものようにルースに逃げられていました。しかし、6月に入り次の発情周期が来てもルースにその気配はありません。もしかすると妊娠しているかもしれないと半信半疑でいましたが、何となくおなか回りもふっくらとしたような?太ったような?ルースの性格にも徐々に変化が見え始めました。以前はスタッフが大好きで遊んでモード全開でしたが、我々から少し距離を置くようになり、最終的には牙をむき攻撃的になってきました。このような状況で不安と期待が入り混じるなか、産室にワラを敷き、出産準備を進めていきました。

 

耳を噛んでルースを誘うジャガオ

耳を噛んでルースを誘うジャガオ


 2014年8月8日の夕方、ルースに餌を与えても食べようとせず、激しく威嚇をしてきました。出産が近い可能性が高いと判断し、産室の扉などを閉め暗く静かにして退室し無事に出産してくれることを祈るばかりでした。あくる日の朝、確認のため産室に近づくと乳をねだる赤ちゃんの甲高い声が聞こえてきたので、出産していると確信しました。2頭の赤ちゃんがもぞもぞ動いているのが見え、ルースもしっかりと守っているので、刺激しないようにすることにしました。初産のルースがお乳を与えてくれるか心配でしたが、赤ちゃんが鳴くと寄り添い飲ませて寝かせつけているのでひと安心です。9月16日のワクチン接種時には性別も雄と雌であると判明し、すくすくと育っています。

 

大きい方の子 雄 やんちゃすぎやねん

大きい方の子 雄 やんちゃすぎやねん

小さい方の子 雌 ちょっと慎重派

小さい方の子 雌 ちょっと慎重派

 

 10月中には可愛い子ジャガー達とたくましくなった母ルースの姿をお披露目できるでしょう。よく頑張ってくれたジャガオルースにおめでとう、そしてありがとうとスタッフ一同感激しています。

(中山 宏幸)