植物の冬越しについて
        

ハーブでリフレッシュ!   〜香りのハーブガーデン・サスティナブルガーデン〜

 夏がやってきました。連日の暑さに耐えかねて、北国のさわやかな気候にあこがれる人も多いのでは?この時期、北海道旅行のパンフレットを飾る紫色のじゅうたんは、畑一面に広がるラベンダーの花。北海道では6月下旬から8月上旬にかけて咲く、ハーブの一種です。この香りをかぐことによって、ストレスや不安からリラックスさせてくれる効果があると言われています。

ハーブガーデン

ハーブガーデン

 においが心に与える影響の大きさに古くから気付いていた人々は、さまざまなものを原料とした香りを文化に取り入れてきました。宗教儀式をより特別なものにするために香をたいたり、装飾品のひとつとして香りを身にまとったりすることは、身分の高い人たちのステータスだったのでしょう。衛生状態がよくなかった時代、さまざまなものから発せられる不快な臭気を隠すためにも使われてきたそうです。近年は、洗剤や柔軟剤に香りを添加したものがよく売れているようですが、お隣さんが干す洗濯物の人工香料のにおいに気分が悪くなる人もいるという報道がありました。香りは、人によって感じ方が違うということですね。

 香草、ハーブを多く使った料理やハーブティーも好みがわかれるところです。極端な例を挙げると、エスニック料理に使われるコリアンダーの生葉(パクチー・シャンツァイとも言われます)は、まるで受け付けられない人もいれば非常に好む人もいます。「蓼食う虫も好き好き(たでくうむしもすきずき)」ということわざは、蓼(タデ)という辛い植物を好んで食べる虫もいるように、まさに好みはそれぞれという意味です。ちなみに、魚のお刺身によく添えられている赤みの濃い小さな葉っぱは紅蓼(ベニタデ)ですので、試してみてはいかがでしょうか。

 逆に、多くの人にとってなじみ深いハーブのひとつにミントがあります。ガムやキャンディーによく使用されていますが、飲み物などにも清涼感をプラスしてくれるため、夏にぴったりです。イタリア料理ですっかりおなじみになったバジルも、人気のあるハーブです。トマトとの相性もよく、暑さで低下しがちな食欲をかきたててくれます。その他、食用にするだけでなく、葉色や花を楽しめるものや、虫を寄せ付けにくいとされるものなど、植物が好きな人にとってハーブは一石二鳥とも三鳥ともいえる存在です。

 ミントやバジルは夏でもよく育ちます。とくにミントの仲間は生育が旺盛で、地下茎でどんどん広がりますので、植える場所に注意が必要です。ラベンダーにはいくつかの系統があり、冷涼な気候を好むものから大阪でも夏を越せるものまで、さまざまな品種があります。耐暑性のある品種も、蒸れさせないために短く刈り込んで、風通しをよくしてやる必要があります。つまり、実際にハーブを育ててみたいと思ったら、それがどんな気候を好むのか、どんな大きさに育つのかをあらかじめ知っておく必要があります。

選定済みのラベンダー

選定済みのラベンダー

 多くのハーブの植付けにもっとも適しているのは3月から5月の春、次は9月から11月の秋です。今からさまざまなハーブを探しておいて、秋の植付け時に苗を入手するのもよいでしょう。天王寺公園のバラアーチのつきあたりには、小さいながらもハーブガーデンがしつらえてあります。また、天王寺動物園のなかにある「サスティナブルガーデン」では、夏野菜の間で育つハーブを見ることができます。「サスティナブル(sustainable)」という英語は「持続可能な」という意味で、ここで採れた野菜を動物が食べ、フンをし、そのフンを発酵させて堆肥にしたものを畑にまいて土を肥やし、そこでまた野菜を育てるという循環を指しています。「天王寺花みどりボランティアクラブ」のみなさんが大切に世話してくださっている「サスティナブルガーデン」で、生き生きと育つハーブの姿をごらんになってください。

選定済みのラベンダー

サスティナブルガーデン

 

(武市 菜穂子)