在来馬野間馬

爬虫類生態館での7年を振り返って


 私が天王寺動物園に奉職して、この4月で丸10年を迎えましたが、現場に携わる飼育員の中では、まだまだ経験の浅いほうです。その10年間のうち延べ7年間担当していたのが爬虫類生態館(以下、アイファー)でした。4月の担当替えでアイファーを離れましたので、思い出を振り返ってみたいと思います。

春の動物と花のフェステイバルでヘビを手に説明

春の動物と花のフェステイバルでヘビを手に説明

 

 アイファーの担当になった時、現場責任者の先輩から最初に指示されたのがヘビの飲み水を入れ替えることでした。方法についての説明は一切ありませんでした。ただ水を替える、それだけですが、どうしたものかと、しばらくヘビとにらめっこをしていたのを今でも鮮明に記憶しています。考えた末、何か道具を取ってこないと思い、少し離れた隙にその先輩が見るに見かねたのでしょう、水は替えられてしまいました。やはり、やり方の説明はありませんでした。そんなデビューでした。

 

サマースクールの子どもたちに餌のマウスの説明

サマースクールの子どもたちに餌のマウスの説明


 以来7年間、少しずつ経験を積ませてもらい、次第にお客さんや実習生にヘビの話しをできるようになり、時にはレクチャーをするまでになりました。時間の経過とは恐ろしいものです。話しをさせていただいたお客さんの中には、私以上に知識や経験を持っていらっしゃる方もおられ、家でワニやゾウガメを飼っているとおっしゃる方がいたのにも驚かされたものでした。考えてみるとゾウやキリンは無理でしょうが、家でカエルやカメなどを飼育することは可能ですし、実際に飼った経験のある方は、そこそこ、いらっしゃるのではないかと思います。そう考えてみると爬虫類や両生類は割と身近な生き物ではないでしょうか。

 

お客さんを前にヒョウモンガメのワンポイントガイド

お客さんを前にヒョウモンガメのワンポイントガイド

 

 こういった身近な動物たちに更に関心や知識を深めてもらおうとゲームやクイズ、工作、寸劇などアイファーでは様々なイベントをこれまで行ってきました。ガイドでも少しでも動物の習性を知ってもらおうという観点からヘビの給餌を見てもらう自称レアガイドなどを行いました。アイファーという場所柄、ガイドやイベントはお客さんとの距離が近いためか、質問を受けたり、話しかけられる機会も多かったと思います。おかげで様々なご意見やアドバイスも頂き、時にはお客さんから感謝の言葉を何度か頂きました。こういうことを励みとしてこの4月からの新たな担当の場所でも頑張っていきたいと考えています。

 

(市成 崇)