獣医室を出た獣医師

 天王寺動物園では園長を含む9人の獣医師が仕事をしています。皆さん動物園の獣医師といえば、動物の診察、治療、手術をしていると想像されるでしょう。もちろん動物園獣医師の主な仕事は動物の診療ですが、現在、主に動物病院で仕事をしている獣医師は3人だけです。

 それでは、他の6人の獣医師はどんな仕事をしているのでしょうか?園長や課長は管理職として、政策的な仕事、対外的な仕事、労務管理などを行っていることは想像がつくかと思います。さて、他の4人の仕事は、動物台帳の整理、国内はもとより外国の動物園との動物の交換などを行う際の契約書の作成や官公庁への許可申請、学校や各種団体からの講演や動物園の見学の指導の受付から講師の選定と連絡調整、「戦時中の動物園展」や「干支の動物展」などの企画展の企画・設営、動物に関する広報などです。

 最後に書いてある広報、それが私の今の仕事です。新聞やテレビの取材対応と機関紙の発行などが主な仕事です。それでは、内容を詳しくお話させていただきましょう。新聞やテレビの取材は実際には記事や放送にならなかったものを含めると年間200件以上になります。そのうえ実際に取り上げられたものでは、少なくとも数回は電話やファックス、メールでの連絡が必要になってきます。資料や写真、動画を提供したりすることもありますので、相互の連絡は数十回に及ぶことも稀ではありません。

 

テレビの撮影風景

テレビの撮影風景

 

 もう一つの大きな仕事は動物園の情報発信の仕事です。情報発信のツールの一つが、皆さんが今ご覧になっている機関紙「なきごえ」です。私が編集協力の窓口になっていますので、執筆者から集まってきた原稿を整理して提出し、戻って来たゲラ刷りを校正し送り返します。印刷版は季刊誌なので、年4回だけですが、その間の2カ月はWEB版をインターネットで配信していますので、発行が終われば次の原稿の整理が始まるような感じです。

「なきごえ」、「Together」

「なきごえ」、「Together」

 

 情報発信ツールはもう一つあります。それは、ビジネスパートナー事業で始まった天王寺動物園・情報誌「Together」です。毎回、3種の動物を取り上げ掲載されています。これには前もって5~6種の候補動物が発行される新聞社から届きますので、3種を選び各担当者とのインタビューの日程調整を行います。記事は新聞社の記者が執筆していただけるので、撮影できない写真の提供と校閲だけが私の仕事です。偶数月の第3金曜日が発行日ですが、発行前週の月曜ぐらいから校閲の仕事が始まります。インタビュー記事だけではなく、他の記事の校閲も行います。ページ数は8ページの新聞ですが、その週は、ほとんど、この仕事にかかり切りの状態になってしまいます。

 広報の仕事はけっこう大変ですが、その成果が新聞の記事になったり、テレビで放送されたりして皆さんに届いたとき、それは喜びと、満足に変わります。これからも天王寺動物園のニュースをどしどし皆さんにお届けしたいと思います。

 

(榊原 安昭)