両生類・爬虫類の井戸端会議!?


 天王寺動物園の爬虫類担当者は年に一度行われる井戸端会議!?に出席しています。

  ということで、今回は私がその会議に出席のため静岡県にある熱川バナナワニ園に行ってきました。この会議には初参加でとても貴重な経験をさせていただきました。

 この会議にはきちんと名前がついています。正式名は「日本動物園水族館両生類爬虫類会議」といいます。全国の動物園また水族館の両生類、爬虫類担当者が集まり研究発表や今後の課題などを議論しあう会議です。日程は2日間で行われ、今回は29の園館から計46名が出席されて行われました。

熱川バナナワニ園
熱川バナナワニ園

 会議は繁殖に関する研究報告や、飼育・展示に関する報告など多岐にわたります。私自身も報告をさせていただきました。報告内容はカメの生息調査です。近年、外来生物による生態系の撹乱が問題視されています。また、現在の動物園は野生動物を展示するだけではなく、保全活動や保全教育への役割があります。そのなか天王寺公園内にある河底池でカメ生息調査を実施しました。結果はやはり外来種のカメが多数生息していました。固有種ニホンイシガメは断然少ない結果でした。河底池でもニホンイシガメは住みにくい環境になっているようです。今後も長期的に調査を継続し外来種の問題、固有種の保全活動、教育普及など課題は山積みです。

爬虫類生態館で飼育しているニホンイシガメ(左)とクサガメ(右)
爬虫類生態館で飼育しているニホンイシガメ(左)とクサガメ(右)
写真提供:ウーマンライフ新聞社

 

 今回の会議でたくさんの園館の担当者と交流できたことはとても良い刺激になりました。

 動物のために、いろいろなことを考えていることが伝わりました。動物にとってよりよい飼育方法や繁殖の技術、疾病時の対応、施設の工夫など目を見張ることがたくさんありました。また止水性サンショウウオの「生息域外保全」の報告がありました。つまり飼育下での繁殖で個体数を増やし確保すること。日本には多くの両生類が生息しています。しかし生息地の破壊でより多くの種が絶滅に瀕しています。このまま放っておけば絶滅をするだけです。だけど、飼育下での繁殖であっても簡単に繁殖できるものではない難しさがあります。少しでも両生類・爬虫類に関心を持ってほしいのと、国内の両生類の多くは絶滅危惧に指定されていることを知ってください。本当に勉強になりました。うん、とても有意義な会議でした。

(三宅 正悟)