IFAR VIVARIUN eye


  爬虫類生態館(アイファー)担当の三宅です。私の担当動物はボア、ニシキヘビといったヘビたちとグリーンイグアナそして、日本の自然ゾーン全般です。担当になってまだ1年のつぶやきです。 
 はじめに、『天王寺動物園の爬虫類生態館(アイファー)って何?どんなところ?』と思いませんか?爬虫類生態館(アイファー)は世界各地の気候を再現し、その環境で暮らす爬虫類をはじめ両生類、鳥類、魚類、昆虫などを展示しています。北米の温帯湿地から始まり、乾燥地、水辺・水中、熱帯雨林と続き、最後は西表(いりおもて)から始まる日本の自然で終わる生態館になっています。カタカナで『アイファー』と表記していますがアルファベットでは『IFAR』となります。その名のいわれは無脊椎(むせきつい)動物『Invertebrates』、魚類『Fishes』、両生類『Amphibians』、爬虫類『Reptiles』を複合展示していることから、それぞれのアルファベットの頭文字を進化の順に並べて、『IFAR』(アイファー)と名づけたものなんです。
 爬虫類生態館(アイファー)を少しはわかっていただけましたでしょうか?それでは、ここから私の体験を書きます。まだ1年の経験でたいそうなことは書けませんが…。
 さて私がアイファーの担当になり、まず最初に悩んだことは、んー、おおげさにいえば『爬虫類って、何?』から始まりました。『どんな動物?どういった飼育をしていけばいいのだろう…』と、知識がほとんどない私は悩みました。いろんな文献や参考書を読んだり、爬虫類に詳しい方たちに飼育方法や経験したことの話などを聞き、情報を集めました。ただ、それらの話を聞いているだけでは飼育している動物には伝わりません。まずそこで動物の生態についてもっと知ろうと思いました。話は少し変わりますが爬虫類の多くは変温動物です。昼行性の爬虫類の多くは日光浴等で体温を高めてから行動します。自分で体温を調整することが不得意なんですね。それらをふまえて飼育には気を使わないといけません。観察はもちろんのこと、『この動物の生息環境はこれでいいのか?餌(えさ)は何を食べているのか?餌(えさ)を与えるペースは?』など、いろいろありますがそれぞれの動物に対して飼育ケージの環境を作るときは、温度、湿度、保温、体を隠すシェルター、水の確保などその動物の生息環境をできるだけ考えて飼育するように心がけています。また、餌(えさ)はマウスやラットを与えています。冷凍のものであったり、生きたマウスを与えたりします。これは動物が生きていく上で当然であり仕方のないことです。ヘビは肉食動物なので給餌(きゅうじ)の間隔にも気を使っています。

 飼育をしていて感じたことは、ヘビは意外と敏感で神経質な動物であるということです。飼育ケージを移動させただけで、餌(えさ)を食べなくなった例もあります。必ずしも全部のヘビがそうなるとは限りませんが、動物の性格や習性というものはそれぞれ違うものだと思います。なかには性格が図太い個体がいるかもしれません。ただ、餌(えさ)を拒絶するヘビもいます。餌(えさ)のやり方をいろいろと試したりしますがそれでもダメな時があります。仕方なくヘビを捕まえて強制的に餌(えさ)を口のなかに差し込むといった強制給餌(きゅうじ)を行います。これはあくまで最終手段だと私は考えています。ほかには、季節性の拒食といったヘビもいるんですね。『ボールニシキヘビ』です。秋頃から突然パタッと餌(えさ)を食べなくなり、体調が悪くなり、それが本当に季節拒食なのか気温が下がり拒食になったのかを様子を観察しながら飼育をしました。4月頃いつものように見に行くとシェルターから顔を出してきました。「これは食べるんじゃないか」と、おもむろに餌(えさ)を与えるとマウスを食べたことを覚えています。その瞬間は何かひとつ手応えがありましたね。私は爬虫類担当になり1年で、まだまだですが、将来は繁殖という目標はあります。いまはひとつひとつ経験を積み重ねていき、動物のことも考えて進んでいきたいと思います。

 

ボールニシキヘビ
ボールニシキヘビ

 

(三宅 正悟)