春まき草花は、多くの種類が熱帯から亜熱帯原産の高温性です。したがって温度さえあれば播種(はしゅ)期にそれほど厳密にならなくても、だいたいうまく発芽して、それなりに秋までには咲かせることができます。栽培温度が上昇気温の時期(春〜夏)に当たるので、多少播種(はしゅ)期が遅れても、その後に遅れを取り戻せます。
これに対し、秋まき草花は温帯地方原産の種類が多く、播種(はしゅ)は下降気温の時期(夏〜秋)に行うことになるので、播種(はしゅ)時期が遅れてしまうと、寒くなる前に十分なサイズに育たないため、その後の生育に大きな支障がでます。かといって早まきし過ぎると、温度が高すぎて発芽しない種類もあり、秋まき草花は、種類ごとにその性質に合った播種(はしゅ)適期を、適切に選ぶ必要があります。
春まき草花も秋まき草花も、早まきをするためには、それぞれ低温、高温が発芽の障害要因となるため、春まき草花の場合は加温、秋まき草花の場合は温度を下げる工夫が必要となります。
播種(はしゅ)
一般の秋まき草花の標準発芽適温は、18℃〜20℃ですが、デルフィニウムやチドリソウは、やや低い15℃〜17℃です。このため種子から栽培にあたってはこの点に留意し、早まきし過ぎないことがポイントです。また年内に観賞するハボタンやストックは一般地では8月上旬ごろの早まきにします。
秋まき草花の種類別播種(はしゅ)適期
一般地での播種(はしゅ)適期 |
品 目 |
7月下旬〜8月上旬 |
ストック、ハボタン |
8月中旬〜8月下旬 |
デージー、パンジー、ビオラ |
9月中旬 |
キンギョソウ、ナデシコ、ルピナス、セリンセ、アスター、リアナリア、ローレンティア |
9月下旬〜10月上旬 |
デルフィニウム、チドリソウ |
種のまき方
まき方 |
方 法 |
適する草花 |
直まき |
草花を育てる場所に直接種をまくこと。
おもに、直根性で移植を嫌う草花の種まき法です。花壇への直まきだけでなく、プランターやコンテナへの直まきも含めます。
大きい種は発芽がスムーズな上に移植に弱いので直まきが一般的。発芽率がよく、強健な草花の場合も、移植の手間を省くために、この方法を使うことがあります。 |
ヒマワリ ケイトウ
西洋アサガオ ユウガオ
コスモス など |
床まき |
もっとも一般的な種まきの方法。
種まき用の床を用意して発芽させ、苗が育ったところで移植や鉢上げをします。
移植しても植え傷みの少ない草花の種まきに適しています。強い風や雨、寒さや暑さを避けて適切な場所に移動でき、発芽を確実に調整できます。 |
サルビア インパチェンス
ルドベキア ハボタン
マリーゴールド
プリムラ類
キンギョソウ パンジー
ビオラ デージーなど |
ポリポットまき |
直根性で移植を嫌う草花の種まき法。
花壇へ直まきするより確実に管理できるので、発芽や育苗がより確実です。
また、直まきをしたいけれど、花壇が空いていない場合や、定植場所が決まっていない場合にポリポットにまいておいて、あとで定植することできます。 |
アスター スイトピー
ルピナス アサガオ
ニチニチソウ
フウセンカズラ
ツンベルギア
ケイトウ
ルコウソウ など |
種まき種類
まき方 |
方 法 |
適する草花 |
条まき |
比較的大きく、細長い種のまき方。
まき床にいくつかまき溝をつけて、その中に等間隔で種たねをまく方法。
種をばらまきより芽が徒長(とちょう)しづらいといわれています。 |
マリーゴールド ジニア
ハボタン など |
ばらまき |
比較的小さい種のまき方
まき床全体に種を平均にまく方法 |
サルビア パンジー
ビオラ デージー など |
点まき |
大きい種のまき方
点状になるように、いくつかの種をまく方法 |
ヒマワリ アサガオ
スイトピー ユウガオ |
(古澤 仁志)
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