サルたちの餌とおやつ

今回は、天王寺動物園のサルたちが、毎日どんな餌を食べているかを紹介したいと思います。

(撮影・文:下村 幸治)



サル舎のバックヤード
ここは、サル舎のバックヤードです。左手の扉が寝室への扉、右手の扉が放飼場への扉です。でも、サル達はどうやって移動するの?とよく聞かれます。それは、地面が格子状になっている部分の下にサルたちが通る通路(通称:シュート)があります。

 

サルたちの餌

サルたちの餌です。リンゴ、さつまいも、ニンジン、バナナ、白菜、キャベツ、広島菜、パン、蒸しいも、蒸しニンジン、鶏卵、ウズラの卵、煮干、サル用ペレット、落花生です。これらを、頭数、年齢などを考え配分します。ちなみにこの中で人気ワースト1位はニンジンです。

 

配分し終わった1日分の餌
配分し終わった1日分の餌の写真です。毎日同じ量と内容ではなく、昨日の食べ残し等を見て考え、特に複数のサルが同居している部屋には気を配ります。なぜならサルは立場の強いサルが餌を優先的に取るので立場の弱いサルは後回しになります。もし、餌の量が少な過ぎると立場の弱いサルに栄養が行き届きません。それを少しでも改善するために部屋の複数箇所に餌をセットします。

 

サルのおやつ

サルのおやつです。おやつと言ってもお菓子ではなく、1日分の餌の一部をおやつとして配ります

 

身体に異常は無いか確認しやすくなります

おやつを配ることでメリットは沢山あります。というのも、通常、警戒心の強いシシオザルの身体を近くで見られるのは、この時だけだからです。これで身体に異常は無いか確認しやすくなります。

 

カニクイザルのオス

カニクイザルのオスです。母と姉と3頭で暮らしていて、オスなので立場が強く寝室で餌を食べるときもパンや落花生など高カロリーのものを両手にキープするので、おやつは人気ワースト1位ニンジン主体であげています。オスはニンジン後回しにして好きなものから食べているからです。こうする事で、足りていない栄養素を与えることができますし、カロリー過多を予防することもできます。

 

マンドリルのオスとメス

マンドリルのオスとメスです。このオスはまだ子供で以前はメスが前に来てオスが後ろで、前に出ようものなら毛を引っ張られる有様だったのが最近はオスが前に来てメスが後ろという感じになっています。微妙に力関係が変わってきているのだなとおやつを与えて知ることができます。

 

 

 他にも飼育員との信頼関係を築く、サルの退屈の時間を解消するなどメリットだらけです。餌とおやつの与え方次第でサルの寿命が左右されます。悲しい事に掃除をしているとたまに投げ込もうとされたであろうお菓子などが落ちていることがあります。サルたちが長生きするにはその様な事が無くなることも大切です。皆さんご協力よろしくお願いいたします。

 今回紹介したサルの他にも色んな種類のサルがいますので、是非足を運んでくださいね。