レッサーパンダの繁殖作戦


現在、天王寺動物園では雌のパンパン(16歳)、シュウナ(6歳)、雄のタイチ(5歳)の3頭のレッサーパンダを飼育しています。タイチシュウナのお婿さん候補で、シュウナが来園した1年後に来園しています。シュウナタイチは、もう2度の繁殖期(1月から3月が交尾期)を共に過ごしているので、若い2頭に子供ができてもおかしくないのですが、まだ子供には恵まれていないのです。そこで、次の繁殖期までに少し環境を変えてみたらどうだろうということで、行ってみた繁殖作戦を紹介したいと思います。

タイチ
タイチ
シュウナ
シュウナ
パンパン
パンパン

動物全般にいえることなのですが、年頃の雄と雌を同居させたからといって必ず繁殖するわけではなく、動物の相性が1番重要です。特に、雄が雌より気が弱い場合に駄目なことが多いようです。タイチはもともと怖がりで警戒心が強い方で、シュウナは逆に気が強い性格なので、2頭の相性が悪いのかもしれないのです。ただ、周りの環境を変えることで、今まで交尾しなかったペアが交尾するようになったりすることもあるみたいです。
まずはシュウナタイチを離してみようということで、今までシュウナタイチパンパンみんな1緒に展示場に出していたのを、タイチパンパンパンパンシュウナのペアで展示するように変えてシュウナタイチは顔を合わさないようにしました。また、寝室が隣同士の部屋で、間仕切りの一部が格子になっていて、お互いの顔がいつでも見れる状態だったので、シュウナタイチの寝室の間の格子部分には板をはり、相手の顔が見えないようにしました。
また、太りすぎていると妊娠しにくい動物が多いので、シュウナの体重を測ることにしました。今まで日常的に体重を測ったことがなかったので、どういう測り方をしようかと思いましたが、シュウナはあまり怖がりではなく人にも慣れているので、体重計の上でリンゴ(レッサーパンダはリンゴが大好物です)を渡したら座って食べてくれるんじゃないかと思い、屋外展示場に体重計を置いてみました。
予想通り、始めは体重計自体を怖がっていましたが、リンゴを乗せてしばらくほっておくと普通に体重計の上でリンゴを食べだしました。今では体重計を持っていくだけ、リンゴをもらえると期待して体重計の上に座ったりします。

シュウナ
シュウナ

少し体重も重かったのと、お腹のあたりがぶよぶよしていたので、餌の量を減らし、今ではだいぶスリムになりました。(痩せすぎもよくないので、餌をどのくらい減らすかには未だに悩み中ですが。)

次は別々に展示していた2頭をいつの時期に1緒にしようか考え中です。少し環境が変わり、お互いの刺激になって交尾してくれたらなぁと今から楽しみにしています。
タイチ
タイチ

撮影・文:松岡 早苗