頭を悩ますホロホロチョウ


 アフリカサバンナゾーンに暮らしている(飼育されている)鳥類は何種類いるかご存じですか?
 まずカバ舎にはエジプトガンとアマサギ。その向かいにはコフラミンゴ。サイ舎にはいません。キリン達がいる大放飼場にはダチョウとアフリカハゲコウ。これで5種類・・・ではありません。あまりみなさんの前に姿を現さないかもしれませんが、ホロホロチョウというキジの仲間もいるのです。
 このホロホロチョウ、以前は一日中放し飼いされており、時にはアフリカサバンナゾーンから出て全く違うエリアに行ったりと、自由気ままな暮らしをしていたのですが、最近、鳥インフルエンザなどの伝染病が出てきたため、防疫の関係上、夜間は寝室に収容しないといけなくなりました。といっても最初から時間になると自分たちから寝室に戻るはずもないので、まずは寝室に戻る練習からしないといけません。
 とりあえず、5羽いる全てのホロホロチョウを寝室に入れ、そこでしばらく入れっぱなしにし、ここが自分たちの部屋であることを覚えさせました。この時餌を与える際にはある特定の音を鳴らし、それを合図にしました。次に寝室の外の少しのスペースを仕切り、そこに出してしばらくしたら寝室に入れる、という練習をしました。この時例の音を鳴らすと、鳥たちはそれで餌がもらえると理解しだしているので、帰ってくるわけです。こうして外にいる時間を長くしていき、途中で外で餌を与える時も音を鳴らし、これで飼育係の方に寄って来るように教えます。こうして時間はかかりましたが、今年の初夏くらいから完全に外に出しました。
 ホロホロチョウは本来群れで暮らしている鳥で、最初のうちアフリカサバンナゾーンでも団体行動をとっていました。収容する時も音を鳴らせば飼育係についてきて、そのままいっせいに寝室に戻るというパターンが出来上がっていたのですが、いつごろからか5羽のうちの1、2羽が入らないという状態になってきました。よく見ると入らないのはいつも同じ個体で、寝室の近くまでは来るのですがそこからは動かない、という感じなのです。どうやら他の強い個体にいじめられているようです。群れで暮らす鳥なので仲間と離れたくはないのですが、いじめっ子が怖いので寝室には入れない、というところでしょう。しまいには寝室の近くにも来ず、外泊する個体も出てきたので、新たな対策を考えないといけなくなってきました。

 今年はこの5羽のホロホロチョウの産んだ卵から、たくさんの雛が孵っており、今後十分成長すれば群れに合流させていく予定です。5羽でもこの調子なのに数が増えたらどうなることやら・・・と先が思いやられる今日この頃です。

ホロホロチョウ

(油屋 謙二)