みなさん、今年は「国際生物多様性年」であることを知っていましたか?なんかいきなり難しい言葉が出てきてしまいましたが、この「生物多様性」について少しお話ししてみたいと思います。
生物と聞いて皆さんは何を連想しますか?身近にいるイヌ、ネコ、スズメ、カラス、動物園などでしたらゾウ、キリン、ライオン、トラなどでしょうか。桜やチューリップ、ひまわりなどの植物や蝶やセミ、カブトムシやクワガタムシなどを連想する人もいるでしょう。
私たち人間が生きていくにはこういった動物や植物のような、たくさんの生き物と関わり合いながら生きていかないといけません。
例えば食べ物で言うと主食のご飯やパンなどがありますが、これらは稲や小麦といった植物がないと食べられません。肉や魚、野菜などもそうです。多くの食べ物は自然界で生きている動物や植物を私たち人間が利用して食べているわけです。食べ物ばかりではありません。住む為の家などはどうでしょうか?家を建てるためには木材が必要です。木を切り倒さなければ家は建てられないですし、木を切り倒すことによってその場所に住んでいた昆虫や鳥、その他の動物たちの住む場所がなくなっているわけです。工場や家庭から出る下水などで魚などが死んでしまったりしていることも皆さんはよくご存知だと思います。
私たち人間の暮らしはどれを取ってみても多くの生き物と深い関わりを持っています。人間と生き物のつながりだけではなく、例えば川の魚が死んでしまうとその魚を食べていた鳥もそこでは生きていけなくなります。逆に魚が減ってしまうとそれまで魚に食べられていた虫たちの数が増えていったりしてバランスが崩れることにもなります。学校では「食物連鎖」と言いましたね。この食物連鎖のピラミッドが崩れてしまい、自然界のバランスも大きく変わってしまいます。
このように私たち人間だけでなく、地球上の全ての生き物どうしはつながりあって生きています。この生物どうしのつながりの事を「生物多様性」と言います。今年は世界の国々が日本に集まって、生物多様性についての会議が10月に開かれます。既にテレビなどでも取り上げられ、様々な場所でこの生物多様性についてのイベントなども開かれています。
爬虫類生態館アイファーではこの国際生物多様性年にちなんで「生物多様性ってな〜に?」という企画展示を行っています。
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爬虫類生態館アイファーの企画展示「生物多様性ってな〜に?」 |
今まで説明してきたようなことをパネルで分かりやすく解説をしています。この展示の中では以前に爬虫類生態館アイファーで実施したカエルにちなんだアンケートの中から、カエルについての関わりを「遊び」「食」「学び」「環境」などに分けた掲示をしています。
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カエルとの関わりについてのアンケート調査結果の掲示 |
- 雨のあととかに道路でひかれたカエルをよく見た。(20代女性)
- 昔、お母さんがキャベツを調理していたら、中からアマガエルが出てきて、可愛かったのでしばらく飼っていました。(10代女性)
- とにかく今は世の中で一番気持ち悪い。(50代男性)
- 林間学習でウシガエルの鳴き声がうるさくて寝れなかった。(10代女性)
- たべたらおいしかった。とりにく?(20代女性)
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近所のポストに入れて人をビックリさせた。(30代女性)
こういったカエルにちなんだ面白いエピソードなども掲示していますので、爬虫類生態館アイファーに来た時には是非ご覧になってください。
カエルが他の生物同様に私たちの生活に色々な面で関わりがあることを知っていただき、年代や性別が変わるとその関わり方も様々だということが分かってくると思います。自分の持っているカエルのイメージだけでなく、家族や友達同士の中でもきっと違うイメージや経験を持っているでしょうから、カエル一つを挙げてみてもちょっとした話題作りになると思います。こういったカエルという身近な生き物からでも生物多様性について考えていただけたらうれしいです。
動物園に足を運んで色々な動物がいること、またその動物が持つ習性などを知るばかりでなく、この「生物多様性ってな〜に?」という展示を見ていただいて私たちが暮らしていく中で、生物との関わりを考えた時に自分には一体何ができるのかということを一人でも多くの方が考えるきっかけになれればいいと思っています。一人一人のできることは限られていて、その力は小さなものかもしれませんが、その小さな力でもやがては大きな力へと変わっていくことはできると思います。「生物多様性ってな〜に?」を通して、私たちにできることは何かを考えてみませんか?
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生物多様性の解説パネル |
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生物多様性についての飼育員からのコメント |
撮影・文:市成 崇 |