チュウゴクオオカミ2度目の繁殖


 昨年、天王寺動物園では26年ぶりになるチュウゴクオオカミの繁殖に成功しました。2009年3月29日に4頭の赤ちゃんが生まれ、ヨチヨチ歩き出した当時、オオカミ舎の前は黒山の人だかりでした。それから、あっという間に成長した仔(こ)オオカミ4頭は8ヶ月を過ぎると両親をしのぐ大きさになり、オオカミ6頭の群れ展示は結構の迫力でした。また、家族の絆(きずな)が強いオオカミの習性から本当に仲むつまじい姿を今も見せてくれています。

 あれから1年、2010年1月21日から今シーズンの交尾時期を迎え、4月7日に何と、今年は7頭の新しい生命が誕生しました。

今年生まれの仔(こ)
今年生まれの仔(こ)

 昨年の実績もあり、母親にほぼまかせきりで2度目の繁殖を喜んでいましたが、「母親・仔(こ)7頭」と「父親・昨年生まれの仔(こ)4頭」を同居させた4月11日以降、状況は昨年と一変しました。昨年は父親を絶対に仔(こ)に近づかせなかった母親が何と、産室に昨年生まれの仔(こ)を呼び寄せ、子育てを教え始めたのです。

巣穴を気にする昨年生まれの若オオカミたち
巣穴を気にする昨年生まれの若オオカミたち

 オオカミの習性として、昨年生まれの仔(こ)がヘルパーをするという話は聞いてはいましたが、実際にその光景を目の当たりにすると昨年とは違う感動を覚えました。

世話をする昨年生まれの雌
世話をする昨年生まれの雌

人間社会では暗い話題が連日報道されていますが、オオカミの家族を1年間見てきた中で、改めて親子の絆(きずな)、家族の絆(きずな)の強さと大切さを知りました。
もう今年生まれの仔(こ)7頭が展示場を歩き回る光景を見ることができます。

巣穴から出てきた今年生まれの仔(こ)
巣穴から出てきた今年生まれの仔(こ)

 そこで、赤ちゃんの名前を考えてみました。7つ仔(こ)なので、「7」という数にこだわってみました。考えに考え、春の星空で目立ちやすく、世界各地で星座神話が作られている「北斗七星」から、愛称をつけました。
北斗七星を構成する星は、ドゥーべ、メラク、フェクダ、メグレス、アリオン、ミザール、ベネトナシュの7つです。これを基に愛称らしく考えて、ドゥドゥメラフェフェメグアリミザベネと名付けました。

 

この7つ仔(こ)を含め、全部で13頭のオオカミの群れ展示はなかなか見られるものではありません。また、仔(こ)の成長は皆様の想像以上に早いものです。可愛い盛りは今かもしれません。ぜひとも、動物園に足を運んでいただいて、仲むつまじいチュウゴクオオカミの家族をご覧ください。

(文:西川 徹二、写真:三宅 正悟)