水辺のいきものたち

 8月22日(土)〜10月12日(月・祝)「川と生きる都市・大阪」をテーマに中之島公園をメイン会場に始まる「水都大阪2009」(詳細は「水都大阪」のホームページをご覧ください)のプレイベントとして、天王寺動物園では5月と6月の土日祝日に特別企画展“水辺のいきものたち”をレクチャールームで開催しました。その際に展示した琵琶湖〜淀川水系の水生動物を、外来種を中心に紹介します。

(構成:芦田貴雄、撮影:青野久雄、芦田貴雄、佐野祐介)


◆ミシシッピーアカミミガメ
ミシシッピーアカミミガメ
外来種であるミシシッピーアカミミガメの幼体です。小さいうちはミドリガメとしてペットショップなどで売られており人気があります。
ミシシッピーアカミミガメ2

成長につれて大きくなり、色も消えて地味になってくるため、捨てられることが大変多いカメです。生態の同じ国産のカメよりも食欲旺盛で、冬眠期間も短く、日本在来のイシガメやクサガメを減少させています。最新の調査では大阪府下の水生カメの39%がミシシッピーアカミミガメでした。
(出典:Current Herpetorogy Vol.28(2008))

 

◆オオクチバス
オオクチバス

北アメリカが原産であるオオクチバスの幼魚です。こうして黒い模様があるのは、周囲に隠れるための保護色でしょうか。

 

オオクチバス2

オオクチバスの成長につれ、黒い模様が消えます。日本の淡水では魚食性の魚が少なく、オオクチバスほど大きくなることも少ないので、あっという間に在来の魚が減ってしまいます。

 

◆アメリカザリガニ
アメリカザリガニ

アメリカザリガニは、食用の輸出のために養殖していたウシガエルの餌(えさ)として日本に移入されました。しかし、第二次世界大戦で日本産ウシガエルの不買運動が起こり、養殖が下火になって逃げたザリガニが、日本中に広がったものです。稲を切るので嫌われています。

 

◆ソウギョ
ソウギョ

ソウギョは中国で食用に重宝されている外来種で、全長1mほどに成長します。水生植物を多量に食べる大食漢です。

 

◆タイリクバラタナゴ
タイリクバラタナゴ

タイリクバラタナゴはニッポンバラタナゴの中国産亜種で、産卵場所であるイシガイなどの二枚貝を争いますが、より細い産卵管を持っているので、卵を産む上で有利です。また、ニッポンバラタナゴと容易に雑種を作り、遺伝子汚染が広がっています。

 

◆ビワコオオナマズ
ビワコオオナマズ

ようやく在来種を紹介できます。ビワコオオナマズは世界でも琵琶湖にしかいない固有種で、全長1m ほどになります。展示はしていませんが、琵琶湖〜淀川水系の横綱として登場してもらいました。

 

◆カバ
カバ
さて、琵琶湖〜淀川水系にカバはいませんが、ここでカバが登場したことには理由があります。大阪市立の博物館、美術館、動物園の8施設では、9月19日(土)から10月8日(木)まで「ミュージアムウィークス大阪2009」を開催します。合わせてオリジナルグッズのもらえるスタンプラリーも行います!今年は「水都大阪2009」の開催を記念し、各施設で「水」をテーマにした名品を展示します。
天王寺動物園の名品はカバですので、カバの写真で締めくくりとしたいと思います。