飼育6班は肉食動物全般と夜行性動物舎、ラクダ、カンガルー、ミニブタ、エミュー、オーストラリアヒクイドリを5人で担当しています。今回は、オオカミ舎で飼育しているチュウゴクオオカミとドールについて、お話ししましょう。
 まず、チュウゴクオオカミですが、雄のチュンサンは2002年生まれの7歳、雌のユジンは2004年生まれの5歳です。このペアの交尾が2009年1月に確認ができましたので、うまくいけば3月に出産予定日を迎えます。天王寺動物園でのチュウゴクオオカミの出産は今から20数年前にさかのぼりますので、関係者一同、期待に胸を膨らませています。
 さて、雄のチュサンは2006年3月17日に中国の上海市動物園から来園しました。いっしょに来園した雌が2006年11月12日に死亡したため、再度、上海市動物園にお願いし、雌のユジンが2008年3月16日に来園しました。2頭の交尾確認にいたるまでの経過をお話しましょう。2008年7月14日に初めて、寝室内で同居させました。午前中だけの同居でしたが、以降は8月3日から9月1日まで、毎週月曜日の休園日に午前中だけ寝室内での同居を続けました。寝室での同居に問題がなかったので、9月23日に展示場での同居展示をスタートさせました。
 オオカミはペアになると非常に強固な絆ができあがります。10月8日にはじゃれあいが始まり、11月、12月は互いに遠吠えを繰り返し、ペアができてきたように思えました。「交尾はまだかな?」と担当者同士で話をし始めた矢先の2009年1月15日、交尾行動が始まりました。以降、26日までの12日間、確実に交尾を確認ができました。オオカミの妊娠期間は60日から65日ですので、出産予定日は3月中旬以降になります。産室準備も整えて、今か今かと待ちわびる日々です。

チュウゴクオオカミの交尾
チュウゴクオオカミの交尾

 次にドールですが、雄のアインは2006年生まれの3歳、雌のシュタインは2005年生まれの4歳です。当園に来たのはアインのほうが1年ほど早く、シュタインが来てからもバックヤードで飼育していたので、しばらくは一人ぼっちでした。何とか、ペアリングしようとお見合いを開始したのが、2008年9月24日でした。それから、2カ月を経て、寝室内同居を試みたのが11月4日でした。こちらの不安とは裏腹に意外と仲むつまじい様子が見受けられ、それならと1週間後には展示場での同居展示にチャレンジ、仲良く行動する姿は入園者にも好評を得ました。2009年2月1日、チュウゴクオオカミの交尾行動で喜んでいたら、なんとドールも交尾行動に入り、5日間の交尾を確認しました。

ドールの交尾
ドールの交尾

 うまくいけば、チュウゴクオオカミ出産の2週間後にはドールの出産。期待と不安が入り混じった日々ですが、観察業務に力を入れています。暖かな春の日和を迎える時期には、ほのぼのとしたチュウゴクオオカミの親子とドールの親子を揃って、入園者の皆さんの前にお見せできるように担当者一同、気合を入れてがんばっています。

(西川 徹二)