グラントシマウマのベルちゃんの成長日記

 今年の8月6日に生まれたグラントシマウマの女の子ベルちゃん。8月6日は広島に原爆が投下された日です。平和の鐘がいつまでも鳴り続けるようにと願って「平和の鐘」という意味で「ベル」と飼育員が命名しました。当園では今年も8月9日から24日まで特別企画展として「戦時中の動物園」を開催しましたが、本当に平和な世の中がいつまでも続いて欲しいと願っています。平和の使者ベルちゃんの生まれてからの様子を成長日記として皆様にお届けします。

(構成:西岡 真/写真:西岡 真・佐野 祐介)


 8月6日の朝、飼育員が草食動物舎に行くとグラントシマウマの赤ちゃんが生まれていました。
 お父さんはヒデヨシで1992年7月24日に広島市安佐動物公園で生まれ、1996年9月24日に天王寺動物園にやってきました。お母さんはミカで1993年9月25日に仙台市八木山動物公園で生まれ、1996年4月3日に天王寺動物園にやってきました。
 出産当日は親子を刺激しないように、1日中寝室に収容したままにしました。
出産翌日の8月7日には、寝室とサブパドックの間の扉を開けたままにしておいて、自由に行き来ができるようにしました。授乳も確認し、ベルは元気にしていました。
 
生まれて4日目のベルちゃん

生まれて4日目のベルちゃんです。体のバランスが親と違って足がすらっと長いでしょ!

天王寺動物園のアフリカサバンナゾーン草食動物エリアではキリン、エランド、ダチョウ、トムソンガゼルなどの動物を混合展示しています。いきなり同居すると、何が起こるかわかりません。だから休園日ごとにサバンナの仲間達と同居訓練をすることにしました。

まずは他の動物と一緒にする前にベルが放飼場に慣れることが大事です。そこで、8月18日の休園日にミカとベルの親子を初めて放飼場に出しました。
親子2頭での放飼だったのとベルにとっては初めての環境なので獣舎付近からほとんど離れませんでした。初回ということで30分程度様子を見て収容しました。

草食獣舎から放飼場に上がってきたところ ノリコがサブパドックで鳴くとミカも気になり鳴いています。
草食獣舎から放飼場に上がってきたところです。ベルはこっちが気になり、ミカはあっちが気になる。 ノリコがサブパドックで鳴くとミカも気になり鳴いています。
しっかり歩いて地面の感触を確かめているベルちゃんです。 お母さんのミカにぴったりと寄り添うベル。
しっかり歩いて地面の感触を確かめているベルちゃんです。 お母さんのミカにぴったりと寄り添うベル。毛足が長くふわっとしているのが分かりますでしょうか?
次の休園日の8月25日には、ミカとベルの親子と一緒にもう1頭の雌のノリコ、トムソンガゼルのシングルマモルと一緒に放飼場へ出しました。
前回よりも広い範囲まで行くことができました。
お母さんと一緒にしっかりと走ることができました 左で鳴いているのはノリコです
お母さんと一緒にしっかりと走ることができました。動物園では肉食獣に襲われることはありませんが、草食動物にとってしっかりと走れることは命を守るために大事なことです。 左で鳴いているのはノリコです。サブパドックのヒデヨシと鳴き合っています。
放飼場でもおっぱいを飲んでいます。

環境に慣れてきて、放飼場でもおっぱいを飲んでいます。

生まれてからこの日までの様子は、9月1日に動物園スタッフブログ「シマウマの赤ちゃんが生まれています」にUPしています。http://blog.zaq.ne.jp/zoo_tennoji/daily/200809/01

次の休園日の9月1日には、お父さんのヒデヨシ以外の草食動物エリアの仲間たちと一緒に放飼場に出しました。ベルは放飼場3回目なので、大分慣れてきたみたいで放飼場の全域を制覇しました。
放飼場には植栽やトムソンガゼルの逃げ場所のために電柵で囲っているところがありますが、細くて見え難くベルは触れても電気がくるなんて分からないので、走っている時に何回か電柵に突っ込み切ってしまいました。

しっぽでバランスを取りながら器用に木登り ベルが1頭で探索中。結構なおてんばになりそう!

まだまだ足がすらっと長いので、草を食べる時にも足を広げたり、ちょっと曲げたりしないと食べることができません。

9月1日の同居練習の様子は、9月5日に動物園スタッフブログ「シマウマの赤ちゃんのサバンナの仲間たちとの同居練習」にUPしています。http://blog.zaq.ne.jp/zoo_tennoji/daily/200809/05
シマウマの子供を初めて見たサバンナの仲間たちの反応も載っていますので、是非覗いてみて下さい。

来園していただいたお客様にはかわいいベルを見ていただきたいのですが、お父さんのヒデヨシがずっとサブパドックだけではストレスも溜まるし運動不足にもなってしまいます。そこで、お父さんのヒデヨシミカベル親子の展示ローテーションを決めて、交代で放飼場に出しました。

生まれて2ヵ月になったベルは放飼場の環境にも慣れてしっかり走ることもできるようになったし、ヒデヨシがサブパドックにいる日はストレスと運動不足で暴れて顔を擦りむいたりするため、10月6日の休園日にはヒデヨシも同居して様子を見ることにしました。ヒデヨシベルが気になって近寄ろうとすると、ミカがかばってベルを連れて逃げ、その間にノリコが入って守るという行動が何度も見られたため、ヒデヨシも同居させても問題ないと判断し10月7日から同居展示を開始しました。

12月2日のベルです。 12月2日のベルです。身体も大分しっかりしてきました。
ベルがどこにいるかわかりますか?

お母さんと離れたところでも平気になっています。
ベルがどこにいるかわかりますか?

これからもベルちゃんが健やかに育つように皆さん応援して下さいね!

アフリカサバンナゾーン草食動物エリアは大阪市動画サイト(OSAKA BBNET)で午前9時30分から午後5時までライブ映像をご覧いただけます。是非ご覧になって下さい。
http://www.city.osaka.jp/movie/enjoy/zoo/index.html