新人飼育係3名を迎えて


 本年4月、定年退職者の補充として3名の新しい飼育係を迎えました。大阪市では新規採用が凍結されていることから、何れも、すでに大阪職員として仕事をしていた人たちです。飼育係となって早、4カ月、考えていた飼育係の仕事とは違っていたことも多くあるでしょう。それぞれの感想を聞いてみました。


子供のころから虫や魚、自然が大好きです
 この度、天王寺動物園の飼育係となりました酒井と申します。実のことを言うと、私と天王寺動物園のつきあいは19年になります。飼育係として働く前は天王寺公園の植木職として公園内にある樹木の剪定(せんてい)をはじめ、花壇を彩る花の植えつけや公園のリフレッシュ工事などの公園管理の仕事をしていました。私は子供のころから虫や魚、自然が大好きで、今回ついに、夢でもあった飼育係になれました。現在はは虫類を中心に担当していますが、4月からの4カ月あまりで動物を飼育する難しさや奥の深さを日々、実感しています。これまで経験してきた植物に関する仕事もそうですが共通していえることは、命の大切さ、そしてお客様の立場で考えた管理方法や展示手法など、まだまだ、これからが勉強で自分の仕事の責任を痛感しています。諸先輩方に負けないようがんばりますのでよろしくお願いします。

(酒井 一也)


命の大切さを知りました
 はじめまして。私は今年の4月より天王寺動物園の飼育係になりました、松岡です。担当はキジとコアラです。今後ともよろしくお願いします。
飼育係になるまでは、植木職で大阪城公園内の樹木管理の仕事をしていました。私は子供のころから動物が大好きで将来、動物に携わる仕事ができたらなぁ…とは思っていましたが、それが実現して驚いていると同時に、うれしく思います。
 まず、飼育係になって思ったことは、ただ「動物が好き」や「動物が可愛い」という軽い気持ちではダメで、家でペットを飼っているようにはいかないことが、この数カ月間で少しずつですがわかってきました。
 キジ類の産卵からヒナの誕生も初めて経験しましたが、無事に生まれて元気に育っていく命もあれば、卵から出てくる直前で力尽きる命、また無事に誕生しても数日間で消滅してしまう短い命もあり、常にうれしさと哀しさが隣り合わせにある仕事だと思います。その分、やり甲斐(がい)のある仕事かもしれません。
 また、この仕事はたくさんの経験の積み重ねが大切であるということがよくわかりました。今後、何度も大きな壁にぶち当たることがあると思いますが、その壁を乗り越えられるぐらいの経験豊富な飼育係を目指して頑張っていきたいと思います。

(松岡 早苗)


動物の気持ちになって考えていきたい
 僕は「動物の気持ちになって考えていきたい」と常に思っています。動物は話すことができません。朝、「おはよう!」から始まり、「今日も僕が来たぞ!」と自分のことを知らせ、掃除をしながら動物たちの様子をチェックしています。
動物たちにはそれぞれ警戒する距離があります。その距離を少しでも縮めるため、動物たちの性格や気持ちが理解できるように日々努力しています。それが思っていたよりも、すごく難しいことなのです。生き物だから毎日がちがいます。エサの切り方ひとつで食べたり食べなかったり、機嫌が悪くなったりと色々大変です。
今の目標は自分が動物たちに必要とされる存在になり、同時に動物たちの理解者になれることです。だけどそれは僕ではなく動物たちが決めることなので、とても奥が深くやり甲斐(がい)のある仕事だと思います。また動物たちと一緒に自分も成長しているような感じで、とても充実した毎日です。本当に飼育係になって良かったと思います。

(町出 猛)