ご存知ですか?


  「○○はどこですか?」とお客さんから聞かれることがよくあります。なかでも、よく聞かれるのがクジャクです。クジャクというと皆さんは雄が羽を扇状に鮮やかに広げた、あの光景を頭に思い浮かべられると思います。でも、クジャクは1種類だけだと思っていませんか。実はクジャクと名のつく鳥は、他にも何種類かいるのです。しかし、みなさんが思い描くクジャクは最もポピュラーであるインドクジャクではないででしょうか。天王寺動物園でもかつてはたくさん飼育していた頃もあったそうですが、現在は残念ながらインドクジャクは飼育していません。しかし、天王寺動物園にもクジャクという名の付く鳥がいます、クジャクはキジ目キジ科に属している鳥なので、キジ舎でその仲間を見ることができます。「パラワンコクジャク」がそれです。
 この鳥はフィリピンのパラワン島の原生林などに住んでいて、大きさはニワトリより小さめで、他のキジ類と同様に雄と雌の色の違いがはっきりしています。雄は黒地に青あるいは緑のような金属光沢のある飾り羽をもち、ディスプレイ(求愛行動)の時にはこれを扇形に広げます。ディスプレイと言っても、みなさんが想像されるインドクジャクのそれとは違い、側方からのディスプレイを行います。雌は地味な茶褐色をしていて雄ほどの派手さはありません。現在、雄、雌1羽ずつ飼育していますが、掃除をしようとケージの中にケージの中に入ると、たいていディスプレイをします。しかし、これは羽色をきわ立たせる求愛行動ではなく、なわばり主張である『誇示行動』をしているのですが、もしかしたら本当に私が好きなのかもしれません。
 森林伐採や乱獲が原因でその生息数は2,500羽以下と激減しており、現地では自然保護のシンボルマークとしても広く浸透しているほどの貴重なのです。
来園される時にはこのようなことを頭に置かれ「パラワンコクジャク」をご覧いただくと、また少し違った形で目に映るのではないでしょうか。

(市成 崇)