今年の干支のイノシシですが、その仲間は世界に8種います。どれもアジア、アフリカ、それにヨーロッパにすんでいます。少し離れた親戚で、ヘソイノシシと呼ばれることのあるペッカリーは南北アメリカに3種がすんでいます。その一部をご紹介します。
(写真・文:長瀬 健二郎)

イノシシ(ヨーロッパイノシシ)
Sus scrofa scrofa

イノシシはヨーロッパからアジアの中部と南部、それに北アフリカと、大変広い地域に分布しています。幅広い食性がそれを可能にしているのでしょう。これはその中でも最も体格が大きいタイプです。
(ヴッパタール動物園)
 
イノシシ(ニホンイノシシ)
Sus scrofa leucomystax

ヨーロッパのものより小型で、北海道を除く全国にすんでいます。特に神戸の周辺では、餌付け(えづけ)による深刻な問題が生じています。
(桐生が岡動物園)
   
イボイノシシ
Phacochoerus aethiopicus

サハラ砂漠より南のアフリカに広くすんでいます。顔にいくつかある突起が「イボ」に見立てられこんな名前がつきました。残念ながら、現在、日本の動物園では飼われていません。
(旧西ベルリン動物園)
 
カワイノシシ
Potamochoerus porcus

同じアフリカにすむイノシシでも「イボ」が名前につくものもいれば、こんなに美しいイノシシもいます。体の大きさは日本のイノシシと同じくらいです。
(ドゥイスブルグ動物園)
   
バビルサ
Babyrousa babyrussa

フィリピンのスラウェシ島やスラ諸島にすんでいます。キバがあるほうがオスですが、よく見ると上の一対は顔の皮膚を突き破って伸びています。頭骨を見ると初めから上に向かって伸びていることがよく分ります。
(旧西ベルリン動物園)
 
クビワペッカリー
Tayassu tajacu

北アメリカの南部から南アメリカのほぼ全域に分布しています。姿はイノシシに似ていますが、独立してペッカリー科を形成します。
(サンフランシスコ動物園)
   
   
クチジロペッカリー
Tayassu albirostris

ほぼクビワペッカリーと分布域は重なりますが、クビワペッカリーが小型で乾燥地にすむのに比べ、こちらは大型で森林を好みます。また、クビワペッカリーが小さな群れを形成するのに対し、こちらは時に100頭を超えるような大きな群れを作ります。
(旧西ベルリン動物園)