私と動物園

株式会社蓬莱 社長
羅 辰雄さん

 ご縁があって貴動物園にシロクマを寄贈できる栄誉にあずかり、その贈呈式では久しぶりに天王寺動物園をじっくりと見学させていただくことができました。
 一歩足を踏み入れた途端、いや正直に申しますと正面入口に到着するやいなや全くタイムラグを感じさせず、まるで毎日通っているような親近感を覚えたと同時にしみじみ動物園って“心の故郷”なんだなあとの思いにかられました。
 思い返すと一回目は自分の子供の頃、親や学校の先生に連れられて訪問。親と一緒の時は何ともなかったのですが、幼稚園時代の私は泣き虫っ子で親と離れるのが辛くてイヤだと言って先生を困らせたそうです。
 ずっと泣いていたとのことで記憶は定かではありませんが、当時のスナップ写真を見ると、かすかに動物園がやたらと広い所であって、咲いていたデージーの花がきれいだったことが思い出されます。
 二回目は高校生の頃でした。学校が動物園の近くにあったこともあって初めてできたガールフレンドとのデートの場所に動物園を選びました。その頃の私は純情でデートに誘ったものの話が進まず、ほとんど沈黙のまま。オリのむこうの動物達は“しっかりせんかいな”とイライラ、ハラハラ、動物ながら気をつかってくれたのではないでしょうか。
 三回目は結婚して初めて我が子を連れて来た時です。もうこの時は親になっていますからしっかりしていました。記念写真もいっぱい撮ってあります。特に長男は第一子だったので暑すぎないか?寒くはないか?日差しはきつすぎないか?と過保護すぎるぐらいの気の配りようで、動物達も“そこまでやるとやり過ぎ”との思いで見つめていたのではないでしょうか。
 月日の経つのは早いもので、その子供も今では子を持つ親になりました。過日の贈呈式にも生後六カ月の孫が息子夫婦と共に来ていました。数えて私は四回目、孫は初めての天王寺動物園でした。今後、私の楽しみは孫を連れての天王寺動物園めぐりになることでしょう。
 こうして考えると動物園を訪れる回数が多い人ほど幸せ者なのです。
 幸せ求めてこれからも天王寺動物園に寄せていただきます。 

(ら たつお)