天王寺動物園では現在オス1頭、メス2頭、合計3頭のカバを飼育しています。オスのテツオ22歳、メスのナツコ33歳とメスのティーナ7歳です。ナツコは当園生まれで、テツオの母親です。ティーナは1998年にメキシコの動物園で生まれ、将来テツオのお嫁さんにするために1歳で当園にやって来ました。わざわざメキシコから導入したのは、テツオの父親フトシが多産で有名な名古屋市東山動物園の重吉福子の子孫であり、フトシと年齢的に適した血縁関係のないメスが国内にいなかったからです。カバの1歳というのはまだまだ赤ちゃんですので、ティーナが大きくなって身体がしっかりしてからテツオと同居することにしました。

 ティーナが生まれる1年前に完成した水中のカバを見ることができる新しいカバ舎には2つに間仕切った屋外プールとオス・メスそれぞれの寝室に併設した屋内プールを備えています。この屋内プールはテツオナツコがそれぞれ使っていました。カバの皮膚は乾燥にとても弱いのでナツコティーナの屋内プールでの同居も検討したのですが、メス同士とはいえ赤の他人であり、ティーナが小さすぎたためティーナにはシャワールームで辛抱してもらうことにしました。

 しかしティーナが成長し、昨年頃からナツコに見劣りしないくらいの体格になってきたので、今年の春にメス同士から同居に踏み切ることにしました。4月10日に屋内プールでの同居を試しました。初日はナツコティーナを追い回す行動が見られ、ティーナが嫌がって寝室に上がってしまいました。しかし、回を重ねるごとに関係が良くなってきたので、5月8日に屋外プールでメス同居を行いました。この時もナツコティーナを追い回す行動やティーナに対する威嚇行動(口を大きく開ける)が見られましたが、闘争に発展することがなかったので、翌日からメスの同居展示を一般公開しました。同居の詳しい様子はグラフZOOをご覧下さい。

 メス1頭だけを屋外プールの水中が観察できる側に展示していた時は、メスが間仕切り格子越しにテツオと語り合うことが多く、結果としてメスのお尻しか見えない場合が多かったのですが、このメス2頭の同居展示によって、これまで以上に水中のカバの顔や全身が見られるようになりました。次はいよいよテツオティーナの同居を試みるつもりです。四半世紀ぶりのカバの繁殖に期待を寄せています。

(飼育課:竹田 正人)