人は動物園に来て自分の知っている知識を再確認するだけで、何も学ばずに帰って行くと言われています。例え、それが誤った知識であっても…残念な話ですね。
 以下は当園のチンパンジーを調査している方に聞いた話です。チンパンジーの親子を見て、『チンパンジーとゴリラが仲良くしているね。』…テレビの影響でしょうか?子供のチンパンジーしか知らない人は、それがチンパンジーだと認識しているようです。おやつタイムにりんごやニンジンと一緒にみかんの皮を与えていると『みかんは飼育係が食べて、残り物をやってんねんで。』…チンパンジーはみかんの皮も大好きなんですが、自分が食べないものは誰も食べないに決まっているという発想なんでしょうか?
 僕はこれらの話を聞いて、展示の説明不足を痛感しました。『チンパンジー舎だから、チンパンジーがいるのが当たり前』『おやつタイムには、ダイナミックなチンパンジーを見て頂けるという自分の思いと、お客様の見方の差』こういったことを知らずに、ニーズに対応できていない展示を続けていては、新しい発見ができないのは当然ではないか!
 飼育係は、人と動物をつなげるのが仕事と考えています。担当動物の細かい変化を見逃さないよう常々接しています。同じように人と接することが十分でなかったのだと反省しました。お客様との会話の中に、いろんな情報を発見している今日この頃、みなさんも新しい事を発見しに動物園に来てくださいね。

(飼育課:早川 篤)

※おやつタイムはチンパンジー舎とオランウータン舎で、
 毎日(雨天中止)11:30 13:30 に実施しています。