DNA 生命をつなぐ不思議な糸
大阪芸術大学グループ創立60周年記念・天王寺動物園開園90周年記念
〜第8回 アジア・アフリカに生きる大型類人猿を支援する集い〜

 11月18日から20日までの3日間、大阪の地でSAGA8が開催されました。SAGAとは“Support for African / Asian Great Apes”(アジア・アフリカに生きる大型類人猿を支援する集い)の略で、国内外の大型類人猿研究者や動物園関係者が大型類人猿の保全について情報交換する場で、興味のある方はどなたでも参加できる集いです。1998年から毎年開催されており、今回が8回目になります。ちなみに、大型類人猿とはチンパンジー、オランウータン、ゴリラ、ピグミーチンパンジー(ボノボ)のことです。

 今回のテーマは「アーツ アンド エイプス」−大型類人猿から芸術を考える−で、1日目と2日目は大阪芸術大学で開催されました。野生大型類人猿の現状報告や野生保全とNPO・企業・行政の取り組み、研究施設と動物園での取り組みについてのシンポジウムが行われ、同時に大型類人猿研究者と芸術家のコラボレーション:映像・リズム・トークによるアーツ アンド エイプスや大型類人猿が描いた作品と大型類人猿を題材に人類が創った芸術作品展が行われました。また、野生チンパンジー研究の第一人者であるジェーン・グドール博士の特別講演「野生チンパンジーとすごした45年間」も行われました。

 3日目は当園の開園90周年記念事業とタイアップし、天王寺公園内の映像館でエンリッチメント大賞受賞者講演会と記念講演会、動物園内でNPOの紹介と活動報告、林原類類人猿研究センタースタッフによる人形劇「ジャングルからのメッセージ」を開催しました。また11月21日から12月11日まで動物園内展示室で大型類人猿が描いた作品と大型類人猿を題材に人類が創った芸術作品展を行いました。
エンリッチメント大賞とはNPO団体「市民ZOOネットワーク」が主催しているもので、飼育下動物の福祉を考え、彼らの生活(環境)を豊か(エンリッチメント)にするための工夫や来園者への配慮を行った飼育施設、飼育担当者、来園者施設に贈られる賞です。4回目の今年は飼育施設部門で当園の「アジアの熱帯雨林ゾーン・ゾウ舎」が受賞し、ゾウの飼育担当者の西田俊広が施設紹介の講演を行いました。記念講演会は、大阪芸術大学の若生謙二教授による「動物園とデザイン」、京都大学霊長類研究所の松沢哲郎教授による「チンパンジーの学習と文化」、天王寺動物園の宮下実園長による「天王寺動物園90年の歴史と類人猿」を行いました。このほか、大阪芸術大学の学生さんによる類人猿を対象にしたフェイスペインティングや当園飼育担当者によるオランウータン・チンパンジーとゾウのワンポイントガイドも行いました。

 今後も、SAGAを機会として多くの人々に大型類人猿の現状や研究施設・動物園・NPO・企業・行政での取り組みを理解していただきたいと思います。来年は同時期に名古屋方面で第9回が開催される予定です。

   (飼育課:竹田正人 SAGA世話人)

大阪芸術大学 若生謙二教授 京都大学霊長類研究所 松沢哲郎教授
▲大阪芸術大学 若生謙二教授 ▲京都大学霊長類研究所 松沢哲郎教授
宮下実 天王寺動物園長 NPOブース展示
▲宮下実 天王寺動物園長 ▲NPOブース展示

詳しくはSAGA8のホームページ( http://www.saga-jp.org/sympo/SAGA8/8j_top.html)をごらんください。