私がボランティアとして活動をするようになってから長い年月がたちました。その間に動物園も新しい動物舎ができ園内の様子もずいぶん変わりました。
コアラ館、オランウータン・チンパンジー舎、カバ舎、サイ舎、アフリカ・サバンナ草食動物ゾーン、アジアの熱帯雨林ゾーン(ゾウ舎)など。これからも新しい動物舎ができることでしょう。
でも、入園者の方、特に関西の方は結果をすぐに求めたがります。「ゾウが見えない」「キリンはどこ?」「コアラが動かない」「最近ではレッサーバンダは立たないの?」などなど。もう少しじっくりと見ていれば、いろいろなおもしろい行動を見たり、いろいろな発見が
できると思います。
私たちは日曜日の午後から2時間、主に動物舎の前で動物の説明をしています。その合間に動物たちに目をやると様々な行動を見せてくれます。仕事があるのでじっと見ているわけにはいきませんが、結構おもしろい場面に出会うことがあります。入園者の方もせっかく動物園に来ているのだからゆっくり見てほしいのですが、時間がないのか、子どもをせかす大人が多いのが現状です。
動物のガイドを聞いてもらって、少しでも動物たちを理解してもらう、そうすればもっとじっくり動物を見てもらえると思ってガイドをしているのですが、中々思うようにはいきません。そのスポットガイドすら聞く時間がないようなのです。
子どもたちは興味を持ってくれるのだけれど、大人は時間がないからといって、子どもを連れて行ってしまうことはよくあります。
今、インターネットやテレビゲームに子どもだけでなく大人まで夢中になり、様々な事件が起こっています。生き物に触れなくなって、生命というものがわからない人が増えてきています。だからこそ動物園は必要だと思います。でもその動物園に来てもらえなければ何もなりません。
私たちはボランティアとして何回も動物園に来ていますが、普通そんなに動物園に来ることはないので来たからには、全部見なくてはと思っている人が多いのでしょう。
普段時間に追われている私たちが、「1日動物園でゆっくりすごそう」そして「また来よう」と何回も訪れたくなる動物園になるためにはどうすればよいか、レクレーションだけでなく少しでも生物というものを考えてもらう場所にするにはどうすればよいのか考えていただきたいと思います。そして私たちボランティアもできることはわずかかもしれませんが、考えていかなければと思います。
(いもん よしこ)
■大阪動物園ボランティアーズ とは・・
大阪動物園ボランティアーズは、大阪市天王寺動物園で活動しているボランティア組織です。1976年に発足し、以来約30年間にわたって活動を続けています。動物や動物園に関する情報を来園者に伝えることが主な活動の内容で、様々な動物舎の前で動物についての説明を行う「スポットガイド」や、骨格標本、剥製標本などを展示して解説を行う「骨の動物園」などの催しを日曜日ごとに行っています。毎年夏休みに小学生を対象として行うサマースクールの際に児童の引率補助を行ったり、自主的な勉強会や園外での動物観察会なども行っています。また、毎月1回機関誌「おおずぼら」を発行しています。会員数は現在20名程度でそれほど多くはありませんが、積極的な活動を続けており、天王寺動物園の来園者サービス、教育活動に大きく貢献しています。
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