DNA 生命をつなぐ不思議な糸


 7月23日は「大暑」でした。暦の上では1年で最も暑さが厳しいとされる日とされています。毎年この日には暑さに弱いホッキョクグマに氷柱を与えるのが動物園の恒例の行事となっていました。しかし、昨年5月2日にホッキョクグマのユキコが死亡し、昨年の「大暑」はニホンザルに氷柱を与えました。ところがあまりニホンザルは氷に関心を示さなかったうえに、そのニホンザルも今年はいなくなってしまいました。そこで、今年はマレーグマ、ニッポンツキノワグマ、メガネグマの3種のクマ類に氷柱を与えることにしました。

 ホッキョクグマに与えていた氷柱は氷屋さんにお願いして、好物のりんごを入れた75キログラムもある氷柱を作っていただいていたのですが、今回与える3種のクマ達は体格も小さく、氷の数も多く必要なことから、自分達で作ることにしました。バケツに水を少し入れ好物のりんごやソーセージ、バナナを浮かせ、冷凍庫で凍らせます。一晩ぐらいで凍りますので、さらに水を加え好物の餌を入れて再び凍らせます。この作業を2〜3回繰り返せば、氷柱ができ上がります。

 いきなり氷柱を与えてもクマ達が関心を示さないと困るので、あらかじめ練習をすることにしました。6月12日にマレーグマとニッポンツキノワグマに氷柱を与えてみましたが。どちらもすぐに氷にかじりつきました。その後、数回練習をして、7月23日「大暑」の本番を迎えました。3種5頭のクマにそれぞれ5個の氷柱を与えました新聞、テレビの報道陣が待ち構える中まず氷柱をそれぞれの放飼場に置き、クマ達を出しました。

 マレーグマのオスは2個とも氷柱を独占し、うらめしそうに周りをうろつくメスが少しかわいそうでした。オスは氷の中の好物を取ろうとかじったり爪を立てたり必死です。転がしたり、かじったり、水に落ちた氷柱も両前足で器用に持ち上げます。ニッポンツキノワグマはひたすら氷にしがみついていました。メガネグマは引っかいたり、抱きかかえてかぶりついたりしていました。

 クマ達は暑い日は、ぐったりと日陰で寝ていることが多く、ちょっと退屈そうです。動物舎の構造上から朝1番にしか、氷柱を与えることができませんが、クマ達や見ているお客さんにも好評でしたので、不定期ですが、暑い日が続く8月中は何回か氷柱をプレゼントしたいと考えています。

(飼育課:藤井 秀樹)

チンパンジーの母子 チンパンジーの母子
マレーグマ
ニッポンツキノワグマ
チンパンジーの母子
メガネグマ