新しくできたゾウ舎には西と東に2つの放飼場があり、それぞれにゾウが水浴びするための池があります。ゾウは背中に土をたくさん乗せたまま池に入ったり、気持ちよいのか池の中で排便したりして水を汚すので、この池は2週間に一度、水を抜いて掃除します。
 ある池掃除の日、朝からポンプのスイッチを入れ、昼頃、水位を確認するため、池の中を覗いてみると、なにやら小さい黒っぽいものがたくさん動いています。以前から池にはアメンボやヤゴ、小型のゲンゴロウの仲間が、どこからともなく、やってきていましたが、この時発見したのは小さいオタマジャクシでした。どうやらアマガエルの子のようです。
 ここでひとつ疑問がわいてきました。アメンボやゲンゴロウは一応羽を持っていて、飛ぶことができます。ヤゴにしても親はトンボですから、なんら不思議はありません。しかし、オタマジャクシは空を飛ぶことはできません。カエルはジャンプすることはできても、長距離を飛んで来ることはできません。
 ではなぜ、まだできて間もない池にオタマジャクシなどいるのでしょうか。担当者同士でいろいろ考えて出た結論はこうです。ゾウ舎建設の時に周りにたくさんの植物を植えましたが、それらにアマガエルがくっついてきたのではないか、ということです。おそらく、木の根の近くで冬眠していたアマガエルが、木と一緒に来たのでしょう。
暖かくなって、冬眠から覚めると全然違う所だったので、カエルも驚いたことでしょう。

(飼育課:油家 謙二)