ゾウになりたい!

大阪教育大教育学科
芸術専攻美術コース
4回生 造形作家

秋山 美歩さん

 幼稚園入園前の私の「将来の夢」はゾウになることだったそうです。
 私は小学3年生まで愛媛県松山市に育ちました。小さな動物園があり、温泉の有名な街でした。母に手を引かれて毎日訪れる動物園は発見に満ちていてそのころの思い出は今でもきらきらと輝いています。
 動物の親子の愛情豊かな交流や、激しいけんか、鳴き声、鮮やかな色・・・そしてやはりゾウの力強い歩みとそれに対照的な優しい瞳は子どもの心に強く残っていたのだと思います。
 それから数年が経ち、動物園は山上の広々した土地に移転し、私も大阪に転校する事になりました。大阪には天王寺動物園があります。
 さすがに毎日動物園に通うわけにはいかなくなりましたが、小学生の時も中学生の時も、大学入試で悩んだ時も、いつだって気持を明るく豊かにしてくれるのは動物園であったのだと思います。「ゾウになる」と言って両親を困惑させた少女も今では大学生になり、美術を専攻して動物をモデルに紙の彫刻を制作しています。
 今年春には天王寺動物園展示室での個展の機会を頂き、期間中は夢の動物園通勤が実現しました。やはり動物園は素敵です。
 動物の一頭ずつに、それぞれの人生があり、生活にドラマがあり、感情があります。
 私が動物の彫刻を制作する時も、その動物の暮らしを想像しながら作ります。そうすると彫刻の表情は必ず活き活きしてくるのです!
 これからも動物園が「生きもの」への尊敬の心と共生への希望を育む場所であって欲しいと思います。
 悩んだら、動物園を訪れてみてください。
 動物たちの「生きること」への熱意や、仲間への愛情は、現代を生きる私たちに欠けている何かを必ず教えてくれるはずです。

(あきやま みほ)