毎年夏になって暑くなってくると、天王寺動物園のアジアゾウは水浴びをします。といっても、アジアゾウの夏は早く、4月中旬頃から水をかぶったりする年もあります。
 ゾウは、体が大きく、熱が体内にこもるため、暑さが苦手で、よく耳をパタパタさせて耳の裏の血管を冷やし、その冷えた血を体中に送って体全体を冷やしますが、それでも追いつかなくなると、水浴びをして体を冷やします。
 もともと、南アジアの暑い国に生息しているので野生のゾウは、一年中毎日のように水浴びをしますが、日本では寒い冬があるため、一年の半分しか水浴びができません。ゾウは暑いのは嫌いですが水浴びは大好きなのです。 特に若い方の"ラニー博子"は、暑ければ一日に何度も水をかぶります。また、調子が良い時はそのままプールの中に入り、横になって寝てみたり、鼻先だけ水面に出して潜水してみたりとよく遊びます。あまりに気持ちが良いので水中で排便したりもしますが、これは後始末のため飼育係は大変なのですが、"ラニー博子"は全く気にならないようです。年老いた"春子"の方は、性格が慎重なためか、なかなか水をかぶらず、少々の暑さならがまんします。どうしても耐えられなくなっても、プールの近くで水面を見つめてしばらく思案した後、ようやく水浴びを開始します。でも一度始めると、けっこうしつこくかぶっていたりします。
 このように水浴びひとつとっても、ゾウの性格によって、動作はさまざまなのです。
 昨年に新しいゾウ舎に引っ越したばかりで、まだゾウ自身慣れてない所もありますが、これから慣れてくるにつれて、いろいろな行動をとるのではないかと、期待と不安が入り交じる今日、この頃です。 

(飼育課:油家謙二)