飼育課:中山 宏幸

 昨年、6月、7月にかけて、カリフオルニアアシカの子供が続けて5頭生まれました。
 その内、4頭が今日まで無事育ちました。最近はカリフォルニアアシカの子供が生まれて無事乳離の時期まで育った事はなく、この子供たちは海遊館から2000年秋にやってきたオスのミークの初めての子供達です。3頭はオスで1頭は小柄なメスです。
 しかし課題は今年の6月で1年をむかえるので5月末までには離乳をさせなければなりません。そうでなければ、成長に見合うだけの母親の乳の量が足りなくなることと、次に出産するのに子供が邪魔になるからです。
 そこで5月中旬にまず2頭のオス(1頭は大柄な「ジャイアン」、もう1頭は「のびた」)の離乳、餌付けです。親から分離させ小さなプールに入れましたが、3日間は何も口にせず、ただ母親を呼び続けるだけです。3日を過ぎると、少し落ちついてきて、15cm位の生きたフナを入れてやると、追いかけて口にくわえては出す行動を繰り返していますが、食べようとはしません。他の水族館、動物園からの餌付けの情報を参考に、イカと三枚におろしたアジの切り身を入れてやると、それらをもて遊んでいましたが、ちょっとしたきっかけで飲み込み、以後、アジのぶつ切り、一匹ものと段階的に大きくしていき、この2頭についてはわりと順調に餌付けができました。後は、残りの2頭(オスは「すねお」、メスは「しずか」)の番です。「すねお」は前回と同様にわりと順調にアジを食べてくれるようになりましたが「しずか」がうまく行きません。体重も目に見えて落ちてきたので、ちょっとかわいそうですが、捕まえて強制的に食べさすしか、方法がありません。飼育係3人で押さえつけて、むりやり口を開けて、アジを押し込みます。一日約500gのアジを毎日強制的に4日食べさた所、5日目にふとしたことから、三枚におろしたアジを食べはじめ、それからは順調に餌付けが進みました。今、自分から餌を食べるようになり、一回り大きくなった4頭のアシカが小プールで楽しく泳いでいます。