4月21日、22日の二日間で二頭のアジアゾウを、旧ゾウ舎から新ゾウ舎に引っ越しさせました。
引っ越しと言うと、簡単に聞こえますが、相手は4トンもある大型動物です。しかも何十年も暮らしてきた旧ゾウ舎からお引っ越しをするのですから、そう簡単にはいきません。新旧ゾウ舎間を歩いて移動するのですが、おそらく嫌がってそう簡単に自分から歩いてくれないだろうと予想して、一年も以上前から前足にチェーンを掛ける練習をし、引っ越し当日はそのチェーンを5トンの物を引っ張れる機械で、無理やり引っ張る計画をたてました。
いざ当日、怪しまれないようにあくまでさりげなく、何時ものようにチェーンを掛けるのに成功したら引っ越し作戦の開始です。まずは、年の若い博子からです。何気ない何時ものような日常が始まったと思ったら、突然今まで体験したことのない力で、知らない所へ引っ張られるのですから、博子は驚くばかりです。しまいには、ゾウが後戻り出来ないようにするための棚が閉まると、その物音にビックリしてやけくそになり、途中から自分で目的地まで突っ走り、作戦一日目は40分程で決着が尽きました。しかも新しい自分の部屋に入るなり、極度の緊張のため下痢便を大量にして、さっそく部屋に臭い付けをしました。
次の日は年寄りの春子です。チェーン掛けは成功しましたが、博子が旧ゾウ舎にいなくなったことで普段と違うことは察知しています。それでなくても春子の感は鋭いのです。旧ゾウ舎から出るのをかたくなに嫌がり、鼻で柱等を掴んでなんとかその場に止まろうとしますが、周りにいるゾウ担当者がそれを阻止します。年齢を重ね、色々な修羅場をくぐってきたさすがの春子も、移動途中で神経性の下痢便をしてしまいます。しかしその後春子はゆっくりと、お尻からですが自分の足で新ゾウ舎に入って来て、無事引っ越し作戦は完了しました。春子は途中で出すものを出したせいか、部屋に入ってからはスッキリと落ち着いており、貫祿を感じさせました。こうしてそれぞれの個性を振りまいて、新しい家に引っ越してきた訳ですが、今では二頭とも新ゾウ舎でニューライフをエンジョイしています、かな? 慣れるのに大変?