飼育課 西村慶太

 昨年より同居生活を開始したイヌワシの夫婦、ソニア(メス)とハヤテ(オス)。只今、その夫婦が巣作りを行なっています。1月に動物園内で剪定されたサワグルミの枝をイヌワシ舎へ入れてやると、すぐにハヤテが運び始めました。繁殖期のイヌワシ夫婦は分業制で、体の小さなオスは狩りや巣材運びを、オスより大きなメスは、巣にてオスから巣材や獲物を受け取り、巣作り・育雛を行ないます。天王寺動物園のイヌワシ夫婦にも外回りをこなすオスと、家庭を守るメスの姿が観察できます。

 実は去年の同居当初はメスのソニアが今一つ乗り気ではありませんでした。せっかくハヤテが集めた巣材の枝を放り出したり、近付くハヤテを威嚇したり。でも最近ではハヤテが集めてきた枝をソニアが受け取り、巣を作る姿が見られるようになりました。それだけではなく今までエサを与えても自分ばっかり食べていたハヤテが、巣で待っているソニアのもとへエサを届けるようになったのです。
ワシの仲間は飼う事は簡単でも、繁殖となればとても神経質で難しいのです。時間も掛かることでしょう。国道25号線や阪神高速道路に面したこの環境の猛禽舎で、繁殖はきっと困難なことでしょうが数年先にヒナの姿が見られることを祈っています


イヌワシ舎

枝を入れると早速オスのハヤテが飛来。

枝を選んで運ぶハヤテ。

持ち帰った枝をメス「ソニア」(左)に渡します。