移入動物の展示の試み

  ペットブ−ムのせいか、時折日本にはいるはずがない動物たちが町中で住み着いたり保護されるケ−スがあります。「あ〜珍しい。」と言ってるだけで済むなら良いかもしれませんが、事はそう単純にはいかないようです。
 以前よりヌ−トリアを展示していた場所に、様々な移入種を展示するようになりました。

 展示しているのは、ヌ−トリア・ミシシッピ−アカミミガメ・アメリカザリガニ・カダヤシです。ヌ−トリア以外の3種を選んだ理由は保護されている個体が多かったり、園内で簡単に手に入る等々深い意味はありません。プランタ−で動物同様、移入植物の展示もしています。 説明文も本誌『慶太のなんでやねん動物園』でお馴染、企画担当の西村係員が作りました。展示の意図や雰囲気を上手く表現できる楽しいパネルに仕上がってますから、ぜひ一度見に来てください。
 展示する理由の一つは、『ペットとして飼っている動物は責任を持って最後まで飼う事。自然に帰すという安易な気持ちでその辺に放さないで!』という事です。
 アカミミガメなどペットとして飼われている動物の場合は、大きくなったから自然に帰してあげようとして近くの池や川に放す方が多いのではないでしょうか?放す方は優しい気持ちで、『あ〜,良い事をした。』と浦島太郎のような気分になっているのでしょう。しかし、貪欲な食欲と運動力を持つアカミミガメが放たれた池の中で繰り広げられる光景はちょっと怖いですね。まあ、これは僕の想像であって、根拠がないと言われればそれまでの事なんですが…。

 いずれにしても、琵琶湖のブラックバス等の問題もそうですが、移入種が悪者扱いされます。でも本当に責められるべきなのは、放した人間なのです。僕はどちらが正しいとか悪いとかいうのではなく、多くの方に考えて欲しいなと思っています。

 移入種を考えるにも、在来の日本産動物たちの現状が分かっていないのも事実です。私たちのまわりの自然が今どうなっているのか、誰も何もわからないまま時間だけが流れていきます。 

 撮影・文 飼育課 早川 篤


展示場

移入種説明看板

看板全体

アカミミガメ

ヌートリア

アメリカザリガニ